ハーフタイム 物言う株主の提案と取締役会の反対意見から見えたこと

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今年の株主総会を振り返ると、資本効率の向上によって収益は改善し親子会社上場によるガバナンス問題の解消も進んだが、物言う株主の提案と取締役会意見の対立が目立った。

株主提案の内容は玉石混交であり、物言う株主の提案についても賛成または反対の印を付けて返答するよう求められたから、いずれが妥当か見分けなければならない。そのような判別作業によって印象に残った提案例を3つ書き留めて置きたい。

一番分かり易い例は「社外取締役選任」に関する提案だ。物言う株主が選任して欲しい取締役候補はテレビ等で世間に知られている人物であり、"目を見張る豊富な知見及び経験"とか、"奇想天外とも言える柔軟な発想の持主"とほめあげる。反対する企業Aの取締役会の意見は"当社グループの事業に関する深い知見を備えるとともに、金融、財務会計、リスク管理及び法令遵守等に関する知見・専門性を備え、全体としてバランスの取れた人物"であり、結論として「3名の選任は必要ない」となった。

次は同業2社に対する提案。1つは監査役会の活動に関する改善要望であり、リスク監査が適切に行われているかどうかを株主が判断するために必要な情報を開示せよという漠然と...