会計知識録 第40回 今改めて問い直す上場の意義とは?
公認会計士 溝口 聖規
はじめに
東京証券取引所(東証)が上場維持基準に到達していない企業に適用してきた猶予期間(以下、経過措置期間)が2025年3月末に終了しました。今後1年の改善期間(3月決算企業の場合は2026年3月末まで)に入り、改善期間内に基準に適合しない場合は、一定期間を経て上場廃止となります。東証のデータ(改善期間該当銘柄一覧(2025年9月3日公表))によれば、上場維持基準に適合していないことにより改善期間に該当している企業は115社(プライム:38社、スタンダード:55社、グロース:22社)となっています。
今回は、新市場の上場維持基準に対する企業の対応を解説するとともに、改めて上場の意義について考えてみたいと思います。
市場再編の経過措置
2022年4月、東証の市場区分が再編され、プライム・スタンダード・グロースの新市場がスタートしました。その時点で上場維持基準(図表1)を満たさない既存上場企業に対しては、「経過措置期間」が設定されました。2022年12月末時点で基準に未達の企業は、プライム:269社、スタンダード:200社、グロース:41社と、各市場の1~2割を占めていました。東証は、当初、経過...
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