会計基準の長い日々 第17回 新年金法対応と2年目の実績

 公認会計士 西川 郁生

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新年金法の公布

JICPAが1999年9月に「退職給付会計に関する実務指針」を公表して以降、年金制度改革の議論はさらに進捗した。2001年6月に確定給付企業年金法と確定拠出年金法(以下、合わせて「新年金法」と称する)が公布された。確定給付型の退職給付制度から、他の確定給付型の退職給付制度や確定拠出型の退職年金制度への移行が可能となった。これらの移行は、厚生年金基金の代行部分の返上が2002年4月から認められたこととも関連する。

この制度改正は、直ちに会計処理のあり方を検討する必要性があるものだった。検討すべき論点として、①厚生年金基金の代行返上をする場合の会計処理、②確定拠出年金へ移行する場合の会計処理、③退職給付制度の清算、縮小の会計処理などが挙げられた。

法律の公布時点は、ASBJの設立前であった。制度改正対応は、JICPAが検討を先行した。ASBJは設立後に、JICPAがメンテナンスとして実務指針を変更する場合、ASBJが基本的な方向性を示すことを公表 した。本件に関しては、メンテナンスというより新規案件の追加といえる。だが、JICPAが動き出していたことで扱いが微妙となった。

JICP...