書評 町田祥弘 編著『各国監査制度の比較研究』

(同文舘出版/定価5,800円+税)

有限責任 あずさ監査法人 常務執行役員 関口 智和

( 21頁)

本書の編著者である町田教授と初めてお会いしてから、20年超になる。町田教授は、ややもすると難解に感じられる監査論を分かりやすくご説明される方で、いつお話をお伺いしても勉強になる。同時に、常に新しい研究に取り組まれており、いつも感服させられる。しかし、今回発刊された「各国監査制度の比較研究」については、書を頂戴した時に率直に驚いた。なぜなら、町田教授及び本書を執筆された多くの先生方と別の研究会でご一緒しており、そこでかなり困難な課題に取り組んでいることを存じ上げていたほか、最近、日本会計研究学会の会長に就任され、研究に割ける時間は少なくなっているだろうと思っていたためである。

しかし、私が驚いたのは、本書に収められている研究内容の幅と厚みがこれまでの類書と比較して群を抜いていたこともその理由であった。私は、以前、金融庁 企業開示課で勤務していたほか、国際・監査保証基準審議会のボードメンバーを務めていたこともあり、海外の監査制度について調査する機会が多くあった。監査制度は、ハイレベルでは多くの点で各国共通的になっているものの、詳細に立ち入っていくと多くの相違点がある。詳細を把握するには法令等...