新リースの会計と税務の詳細解説 第10回 税務上の取扱いと申告調整等①

-会計と税務の両面から考察-

 公認会計士・税理士 太田 達也

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Ⅰ 会計基準と法人税の取扱いとの関係

1.法人税法上のファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区別

会計上はリースに係る会計基準が改正されたが、法人税法上会計基準に対応する改正は基本的に行われていない。法人税法上、中途解約不能かつフルペイアウトの要件を満たしたリース(いわゆるファイナンス・リース)を「リース取引」と定義しており、いわゆるオペレーティング・リースは、資産の賃貸借として税法上のリース取引に該当しないものとして取り扱われている。

法人税法上、リース取引については従来どおり売買があったものとして所得の金額の計算を行う一方、オペレーティング・リースについては賃貸借取引として、その契約に基づき当該内国法人が支払うこととされている金額のうち当該各事業年度において債務の確定した部分の金額を、当該各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入するものとされる。

会計上、リースの借手についてファイナンス・リースとオペレーティング・リースの区別はなくなるが、税法上は区別をしなければならないことになる。

2.会計基準と法人税の取扱いとの関係(税会一致または税会不一致となるもの)

リースの借手に関し...