公開買付制度・大量保有報告制度の見直しに係る政令・内閣府令改正等の解説(前編)

金融庁 企画市場局 企業開示課 課長補佐 新谷 亜紀子
金融庁 企画市場局 企業開示課 課長補佐 金子 慧史
前金融庁 企画市場局 企業開示課 専門官 上久保 知優
金融庁 企画市場局 企業開示課 専門官 福田 輝人

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1.はじめに

金融審議会「公開買付制度・大量保有報告制度等ワーキング・グループ」報告(以下「WG報告」という)を踏まえた公開買付制度・大量保有報告制度の改正を含む「金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律」が、2024年5月22日に公布された(関連解説は No.3665・14頁 )。その後、法改正及びWG報告を踏まえ、公開買付制度・大量保有報告制度の見直しに係る関係政府令等の改正等(以下「本改正」という)が2025年7月4日に公布・公表された。

本稿では、本改正の主な内容について2回に分けて解説する。以下では、金融商品取引法を「法」又は「改正法」、金融商品取引法施行令を「令」又は「改正令」、発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令を「改正他社株府令」、株券等の大量保有の状況の開示に関する内閣府令を「改正大量保有府令」といい、条文番号は、特に断りのない限り、改正後の規定を指す。

なお、本稿において意見にわたる部分は、いずれも筆者らの個人的見解である。

2.公開買付制度

(1)公開買付制度の対象となる取引範囲の見直し

①適用除外買付け等の見直し

一定の類型の...