新・経理実務最前線!Q&A 監査の現場から 第30回 サステナビリティ情報と財務情報のつながりに関する実務上のポイント

EY新日本有限責任監査法人 公認会計士 早坂 達也

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昨今、サステナビリティ情報の開示に関する議論が国内外で急速に進行していることは周知の事実です。その中で、2025年3月、サステナビリティ基準委員会(以下、SSBJ)は我が国で初となるサステナビリティ開示基準(以下、SSBJ基準)として、サステナビリティ開示ユニバーサル基準「サステナビリティ開示基準の適用」(以下、適用基準)、サステナビリティ開示テーマ別基準「一般開示基準」及び「気候関連開示基準」(以下、気候基準)を公表しました。さらに、我が国におけるSSBJ基準に準拠した開示及び保証の制度化に向け、金融審議会「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」及び「サステナビリティ情報の保証に関する専門グループ」などでの議論も進行中です。SSBJ基準では、「サステナビリティ関連財務情報開示」という用語が使用されています。これは、サステナビリティ関連財務情報(以下、サステナビリティ情報)が、関連する財務諸表に含まれる情報を補足し、補完するものであると考えられるためです(適用基準BC117)。サステナビリティ情報はこのような性質を持つため、財務情報との「つながり」を理解...