事例から学ぶ適時開示―不適正な開示事例の解説― 第2回 不適正な開示の発生状況と決定事実に係る不適正開示の事例・留意事項
東京証券取引所 上場部 開示業務室 ディスクロージャー企画グループ 調査役 岩城 拓弥
1.はじめに
不適正開示とは、上場規程に基づく会社情報の開示が適正に行われなかったものをいいます。適時開示は投資者が投資を行うための基礎としてきわめて大きな役割を果たしていますが、これが適切に行われない場合には投資者の金融商品市場に対する信頼が損なわれ、合理的な投資判断に支障をきたすだけでなく、未公表の重要事実を利用したインサイダー取引が発生するリスクも高まることとなります。なお、上場規程ではその実効性確保のため、上場会社が適時開示の規定に違反したと認められる場合には、公表措置や改善報告書の徴求、特別注意銘柄への指定などといった措置を講ずることができることが定められています。
今回は、2024年度(2024年4月1日~2025年3月31日)の東証上場会社における不適正開示の発生状況について概説した上で、上場規程で定める開示ルールの理解の浸透を目的として、不適正開示が発生しやすい開示項目ごとに、事例をもとに不適正開示が発生した経緯や原因について解説します(今回は決定事実の開示における不適正開示例を、次回の第3回では発生事実の開示・決算情報における不適正開示及び先行開示の事例を取り上げて解説し...
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