会計基準の長い日々 第19回 IASBとFASBのコンバージェンス~EU同等性評価と米国市場への挑戦

 公認会計士 西川 郁生

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IASBとFASBのコンバージェンス

IASBが当初から予定していたリエゾン国(米英仏独日加豪)の役割は、プロジェクト別にリエゾン国が分担して調査研究を行い、基準作成に貢献するというものだった。2002年、IASBは、各国との共同作業を取りやめることを、リエゾン国会議の場で伝えた。協働関係を提案したIASBからの一方的な発表であった。今後については、「米国を唯一のパートナーとしてコンバージェンスを進める」ということだった。

国際協調による文字通りのコンバージェンスを追求する方法から、強者連合を形成する方向への転換に見える。米国と深い協力関係を持つほうが、IASBにとって意義があるという意思表示である。このIASBの新しい枠組みに異論を唱えるリエゾン国はなかった。「米国FASBとIASBが決めたのだから仕方ない」という空気感が支配的だった。

もちろん、それなら各国によるテーマ分担構想を最初から打ち出すべきではなかったといえる。だがそれも軌道修正できる程度の初動ミスに過ぎない、ということになるのかもしれない。この発表でIASBがリエゾン国に謝罪したという記憶はない。

このときから、EC①(欧州委員...