事例から学ぶ適時開示―不適正な開示事例の解説― 第3回 発生事実、決算情報及び先行開示に係る不適正開示の事例・留意事項
東京証券取引所 上場部 開示業務室 ディスクロージャー企画グループ 調査役 飯島 寛太
1.はじめに
前回 は、2024年度の東証上場会社における不適正開示の発生状況について取り上げるとともに、決定事実に関して、不適正開示が発生しやすい開示項目について、経緯・原因としてよくある内容を解説しました。今回は発生事実に関して不適正開示となってしまった事例について、その経緯・原因を解説するとともに、決算情報に係る不適正開示や先行開示の事例についても取り上げて解説します。
2.発生事実に係る不適正開示の事例
〇子会社からの配当金
‐経緯・原因‐
①連結子会社から配当金を受領しても連結財務諸表への影響はないため、開示は不要と考えていた。
②子会社からの配当金受領について開示する必要性は認識していたものの、配当金を実際に受領したタイミングで開示すれば良いと考えていた。
‐解説‐
個別の開示項目に該当しない発生事実でも、投資者の投資判断に及ぼす影響が重要であると認められる場合には、「その他の発生事実(バスケット条項)」として開示することが必要となります。投資者の投資判断に及ぼす影響について、適時開示ガイドブックでは、その重要性の判断の目安を示していますが、①の事例はそ...
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