会計基準の長い日々 第20回 IFAD調査報告書への反論~国際的な調和とコンバージェンス

 公認会計士 西川 郁生

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IFAD調査報告書への反論

2003年2月にIFAD(会計開発国際フォーラム) から「GAAPコンバージェンス2002」なる調査報告書が公表された。金融庁で開かれた関係団体の協議会でこの問題が取り上げられた。報告書の内容については、IASB関係者から説明があった。

最大の問題点は、報告書で「コンバージェンスを予定していない3カ国」として、アイスランド、サウジアラビア、日本を挙げている点である。どうしてこの3カ国が選ばれたのか、と考えてみてもわかるすべもない。IFADの調査において、わが国の誰かがインタビューを受けたかどうかなど、何も伝わってこない。少なくともASBJのメンバーは、報告書の公表まで何も知らなかった。

コンバージェンスを予定しない国を認定する際、共産主義国家だからとか、資本市場が未発達で複雑な基準に合わせられない国を選ぶのであればわかる。だが、途上国などの国が真っ先にコンバージェンスすると宣言しているのだ。言うのは易い。世界中の国を、経済レベル、市場の成熟度やインフラ整備の相違を無視して画一的に比較し、共通性のない3カ国を選ぶことなど何の意味もない、と我々には思えた。

日本の会計関...