<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第149回 失われた40年(1)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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不適切にもほどがある!

「不適切にもほどがある!」は、2024年1月から3月まで、TBS系列で放映されたテレビドラマである。阿部サダヲさんが演じる昭和のダメおやじが2024年にタイムスリップして不適切発言を連発するコメディで、昭和と令和の社会の雰囲気の違いを際立たせた傑作である。このドラマに描かれていた昭和とは、昭和61年(1986年)で、2026年から数えると、ちょうど40年前である。

個人的印象なのかもしれないが、40年前と比べて世の中が劇的に変わったような印象は持っていない。もちろん携帯電話の普及や、ドラマで取り上げられていたコンプライアンス意識の向上などの社会的変化はあったが、1986年の頃から振り返った40年と、その後の40年の変化の大きさを比べてみると、1986年から振り返った40年の方が、はるかにその変化が大きい。

1986年から振り返った40年前の1946年、すなわち第二次世界大戦敗戦の翌年、日本の多くの都市は焼け野原となっていた。両親や先生から聞いたり、テレビドラマで知ったりしたその頃の生活と、1986年の生活とは天と地ほどの差があった。自分の記憶のあるところだけでも、畳中...