M&Aの経理実務を時系列で理解する 第6回 みなし取得、決算月、期ズレ

―会計処理・決算対応の要点―

株式会社Stand by C 公認会計士 鯨井 久敬

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1.はじめに

M&Aにおけるクロージングが完了すると、いよいよ対象会社の連結手続に入る。ここからは、M&A担当者だけでなく、経理部門が主体となって進めるべき実務が本格化するフェーズである。

本稿では、新たに取得した子会社を連結財務諸表に取り込むための初期段階の手続、中でも「支配獲得日の決定」と「連結決算に取り込む子会社財務諸表の期間」に焦点を当てて解説を行う。

なお、以下の説明は日本基準を前提としており、IFRS及びUS GAAPについては最後に日本基準との違いについて触れている。

2.支配獲得日の決定

支配獲得日とは

支配獲得日とは、取得企業(親会社)が被取得企業(子会社)に対する支配を獲得した日を指す。株式譲渡であれば、通常は株式の引渡しと対価の支払いが完了した日(クロージング日)となることが多い。この日は、会計実務上、以下の3点で極めて重要な意味を持つ。

1.資産負債の時価評価・PPAの基準日:支配獲得日時点の子会社の資産及び負債を時価評価し、取得原価との差額をのれん(または負ののれん)として認識する。いわゆるPPA(Purchase Price Allocation)の手続きを行う基準日とな...