会計基準の長い日々 第29回 役員賞与~利益処分から費用処理へ
公認会計士 西川 郁生
商法改正と役員賞与
役員賞与の会計処理は、私自身、会計士になりたての頃から不思議なものだと思ってみていた。株主総会で賛否が問われる利益処分案には、株主への利益配当に加え、多くの企業で役員賞与の支給が長きに亘って掲げられていた。役員賞与が利益処分として可決された場合には、会計上、役員報酬という費用として扱われる余地はなく、未処分利益を直接減額する処理が行われてきた。また、連結財務諸表でも、個別財務諸表を基礎として作成する考え方から直接減額が用いられていた。報酬であるはずの役員賞与がなぜ費用でないのか、いつも首を傾げるものであった。
2002年の商法特例法改正で、ガバナンスの強化などを目的に、新たな機関設計として委員会等設置会社 ① が、規定された。委員会等設置会社では、取締役や執行役の賞与を利益処分として分配できないこと(商法特例法第21条の31第2項)となった。
委員会等設置会社では、役員賞与は報酬委員会で決定するから、会計上費用処理以外の処理は考えられない。
一方、株式会社の大半を占める従来型の監査役(または監査役会)設置会社においては、金額の確定しない報酬(例えば業績連動報酬)については、定款...
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