<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第155回 失われた40年(7)
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
油断!
堺屋太一が「油断!」を出版したのは1975年である。作品は、1973年の第一次オイルショックを背景としたものである。堺屋は通商産業省(現在の経済産業省)の官僚であった。彼は、日本の経済が中東の石油資源に大きく依存しているため、中東情勢の緊迫化に伴い石油供給が途絶することを予見していた。そして、実際に石油危機が起こる前に石油供給の途絶の社会的影響を小説に描く構想を持っていた。しかし、1973年に現実の危機が発生したため、作品が社会不安を過度に刺激するおそれがあるとして刊行は一時見送られた。その後、情勢が一定程度落ち着いた1975年に単行本として出版されたのである。発表後は、日本のエネルギー構造の脆弱性を具体的に示した作品として広く読まれ、1976年にはテレビドラマ化もされるなど社会的関心を集めた。
残念ながら、日本のエネルギー構造はその当時から大きく変わっておらず、多少の違いといえば、8ヶ月分の備蓄があることぐらいだろうか。
しかし、その当時の日本と現代の日本とで大きく異なることがある。それは国のポテンシャルである。当時の人口分布図と現代のそれを見比べてみると、まるで上下をひっくり返し...
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