監査基準の改訂に当たって(1) 不正に関する基準改訂は不要か?
青山学院大学大学院 教授 町田 祥弘
1.不正に関する監査基準の改訂の背景
2026年4月24日、企業会計審議会監査部会が開催され、「継続企業の前提」と「不正」に関する監査基準の改訂に関して審議が開始された。これは、2025年に国際監査・保証基準審議会(International Auditing and Assurance Standards Board : IAASB)より公表された国際監査基準(International Standards on Auditing: ISAs)(2026年12月15日以降に開始する事業年度から適用)への対応が主な背景となっている。
このうち、不正に関しては、ISA240「不正に関する監査人の責任」が該当する。ISA240の改訂は、2017年に発覚した英国のカリリオン社や2020年のドイツのワイヤーカードにおける不正が明らかになったことが大きな背景となっている。いずれも、直前まで良好な業績を報告しており、また四大会計事務所が監査に携わっていながら不正を見抜けなかったという事例であり、その後、英国やドイツの監査を含む制度改革に繋がった事例である。このことが不正に関する監査人の役割と責任につい...
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