監査基準の改訂に当たって(2) 継続企業の前提を評価するのは誰か?

青山学院大学大学院 教授 町田 祥弘

( 19頁)

3.継続企業の前提に関する監査基準の改訂の背景

前稿 に引き続き、2026年4月24日に企業会計審議会監査部会で審議が開始された監査基準改訂の問題を考えたい。

今般の監査基準改訂では、不正への対応とともに、継続企業の前提(Going Concern:GC)に関する監査上の対応も課題として挙げられている。これは、2025年4月に公表された改訂国際監査基準(International Standard on Auditing: ISA)570「継続企業」を受けたものである(2026年12月15日以降に開始する事業年度から適用)。

ISA570の改訂の背景としては、第1には相次ぐ企業破綻である(Basis for Conclusions, pars.1-2)。カリリオン社やワイヤーカード社だけでなく、2019年のトーマス・クック(Thomas Cook Group)や2020年のデベナムズ(Debenhams)の破綻など、コロナ禍前後にビジネス環境の大きな変化や資金繰りの悪化に伴って経営破綻が相次いだことが挙げられる。第2には、そうした状況を背景に、監査に対して一般の利用者の期待が一層高まっているこ...