IFRSをめぐる動向 第176回 持分法会計-関連会社との取引から生じた未実現損益消去についてのIASBの審議状況-

PwC Japan有限責任監査法人 公認会計士 村上 彩

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1.はじめに

本連載は、主に国際会計基準審議会(IASB)の月次会議における討議内容に基づき、IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。IASBは2024年9月に公開草案「持分法会計‐IAS第28号『関連会社及び共同支配企業に対する投資』(202x年改訂)」を公表し、現在、寄せられたフィードバックを踏まえた再審議が行われています。今回は、その中でも特に日本の利害関係者の関心が高いと思われる、関連会社との取引から生じる未実現損益の消去について、これまでの議論の背景、2026年5月のIASB会議における暫定決定及び実務上の留意点を整理します。

「持分法」プロジェクトの過去の経緯の詳細については、本連載の 第170回 (No.3728)の解説をご参照ください。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめお断りします。

2.関連会社との取引をめぐるこれまでの議論の背景

(1)従来の基準の枠組み

現行のIAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」(以下、IAS第28号)では、関連会社との取引から生じる利得及び損失について、関連会社に対する関連のない投資者の持分の範囲...