暗号資産のリスクを踏まえた監査上の着眼点と企業の体制整備

PwC Japan有限責任監査法人 パートナー 須田 真由

( 12頁)

はじめに

2025年12月10日、金融審議会から「暗号資産制度に関するワーキング・グループ報告」が公表され、暗号資産をとりまく制度整備は新たな局面に入りました。金融審議会「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」および金融庁による当該報告の公表内容は、利用者保護とイノベーション促進の両立を前提に、暗号資産に関する規制・開示・業規制の見直しの方向性を示しています。

とりわけ、2026年4月には暗号資産に係る規制見直しを含む改正法案が国会に提出され、今後は交換業者・関連事業者に対して、従来以上に説明責任、情報提供、内部管理、委託先管理、価格算定の妥当性などが求められる方向にあります。2026年金融商品取引法等改正案に基づく暗号資産に係る規制の見直しに関する解説 でも、規制の重心が資金決済に関する法律から金融商品取引法へ移る可能性と、それに伴う実務負荷の増加が指摘されています。

もっとも、これらの制度対応は、単なる規制対応コストとして捉えるべきものではありません。利用者財産の保全、事故の未然防止、経営の透明性向上、金融機関・監督当局・監査人との対話円滑化という観点から、自社の管理体制を見直し、持...