会計知識録 第45回 内部統制に重大な欠陥。それでも「適正意見」なのはなぜ?―KDDI事例から考えるJ-SOXの本当の役割―

~企業の会計・財務活動を解読~

 公認会計士 溝口 聖規

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1.「重大な欠陥」があるのに、なぜ適正意見なのか?

「内部統制に開示すべき重要な不備がある」と聞けば、多くの人は「財務諸表も信用できないのではないか」と考えるのではないでしょうか。ところが、KDDI株式会社(以下、KDDI)は2025年12月、子会社のビッグローブとその子会社であるジー・プランが手掛けるネット広告代理業に架空循環取引があったことが発覚し、内部統制報告書には開示すべき重要な不備が記載された一方、財務諸表に対する監査意見では無限定適正意見が表明されました。

内部統制に重大な欠陥があるにも関わらず適正意見となると、一見すると矛盾しているように見えます。しかし、実はここにJ-SOX(財務報告に係る内部統制報告制度)を理解するための重要なポイントが隠されています。今回は、J-SOX及び、J-SOXと財務諸表監査の関係について、解説します。

2.J-SOXで監査人は何を監査しているのか?

我が国のJ-SOX制度を理解するうえで、まず押さえておきたいのが、日本と米国では内部統制監査の制度設計が異なるという点です。

【用語解説①】

■ J-SOX

金融商品取引法に基づく「財務報告に係る内部統制報告制...