有価証券報告書の総会前開示をめぐる企業と機関投資家の動向

―2026年3月期の開示とガバナンス・株主提案の分析―

ジェイ・ユーラス・アイアール株式会社 シニアマネージャー 石井 勇斗

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1.はじめに

本稿では、2026年3月期の有価証券報告書の総会前開示の動向について紹介するとともに、ダルトン・インベストメンツによる有価証券報告書の総会前開示を求める株主提案議案に対する機関投資家の議決権行使判断や2026年7月に公表されたコーポレートガバナンス・コード(以下、「CGコード」)の改訂に基づき、資本市場関係者の要請や動向について解説を行っている。

2.有価証券報告書の開示状況

金融庁「2026年3月期に係る総会前開示の状況」によれば、2026年3月期の有価証券報告書(以下、「有報」)の総会前開示を行った企業は全体の88.3%となり前期の57.7%から著しく進展した ① 。その中でも株主総会から3週間以上前に有報を提出した企業はアドバンテスト、双日、ソラコム、ティラド、HOYA、IDホールディングス、ZOZOの7社であった。なお、有報の総会前開示を2週間以上前に行った企業まで対象を広げると、ここにさらに7社加わり14社であった ② 。

このうち、アドバンテストとソラコムは2025年の株主総会で株主総会の議決権基準日の後ろ倒しの定款変更議案を決議しており、6月に有報(有報と事業報告等の一体開...