株式会社インフォマート 代表取締役社長 長尾 收さんに聞く 「脱!紙とハンコ。経理の電子化、ペーパーレス化、テレワーク化を助けるツール」【マネジメント倶楽部・今月の深読み!】

このコラムは『マネジメント倶楽部』2020年10月号に掲載されました。

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 2020年、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響により、テレワーク環境の導入が進んでいます。企業間取引の電子化のプラットフォームを国内でいち早く提供してきた、株式会社インフォマートの代表取締役社長・長尾收さんに、経理業務の電子化によってどうテレワーク化を実現するかをお聞きしました。

――2020年に入り、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための外出自粛、企業のテレワークが続いています。

 当社が実施した「テレワーク利用に関するアンケート調査」によると(「テレワーク利用に関するアンケート調査」は3月に第1弾、5月に第2弾を実施)によると、今後も企業のテレワークの継続が求められていることが明らかになりました。
 テレワークが推奨されはじめた2020年3月に実施した調査では、「テレワークを利用している」と回答した企業は全体の12.1%にとどまりましたが、5月に行った調査では、その約3.4倍の40.9%と大きく増加した結果となりました。その一方で、半分近くの方から「課題が改善されれば利用したい」との声もあり、準備・制度が整っていない状態でテレワークを導入するには多くの課題が残ることがわかりました。

――アンケートで見えたテレワークの課題とはどんなものでしたか?

 テレワークを利用して感じた課題としては、「プリンタやスキャナがなく、紙の書類のやり取りができない(50.9%)」が最も多く、次いで「書類が持ち出せず、作業が進められない(44.5%)」となり、従来の「紙の業務」がテレワーク導入の支障になっていることがわかりました。それ以下は、主にコミュニケーション不足が課題で、「チームや同僚・部下の仕事の進捗が把握できない(36.0%)」「社内の報告・連絡・相談がうまくできない(35.6%)」が続きました。
 今後のテレワークの継続には、誰もが利用できるテレワークの制度設計をすることが重要で、それが実現できれば、場所や時間の制約を超えて能力の高い人材の確保・定着につなげることが可能となり、ひいては事業力を高めることになると思います。実際にテレワークに取り組んだ方々からは、「通勤のストレスがなくなった」「働き方に多様性が出た」「効率を上げて成果に変える方法を模索したい」といった好意的な意見も多く出ました。今後、多くの企業は大企業・中小企業を問わず、テレワークを新たな働き方として定着させ、継続する方法を模索していくことになりそうです。

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――テレワークで大きなネックとなった「紙の業務」に関連して思い浮かぶのは、国税関係の書類です。これらは過去7年間の保存が義務付けられていますが、1998 年に施行された「電子帳簿保存法」で、紙に加えて電子データでの保存も可能になりました。その後も2005年の「e-文書法」、15年の電子帳簿保存法の改正などにより、電子化、ペーパーレス化に向けた法整備は進んできています。しかし、現在でも企業間取引において受発注はデータで行いつつも、請求書については"紙"で受け渡しするというのがまだほとんどという印象です。

 今や多くの業務がIT化されているなか、経理業務、特に請求書の業務はまだ紙に依存しています。請求業務には多くの手間とコストがかかりますから、その業務をペーパーレス化できたら大変効率的になると思います。
 これまで多くの企業では、紙の請求書を電子化したいという思いがあったとしても、自社の都合だけでは進められないというジレンマがありました。というのも、支払先あるいは入金先である相手企業が「電子化に対応してくれるだろうか」「余計な負荷をお願いすることになるのではないか」という懸念があるからです。また、自社の請求書のフォーマットが決められていたり、「請求書は紙で印鑑を押していないといけない」という思い込みがあったりするため、電子化に踏み切れない事情もありました。
 しかし、コロナ禍でテレワークが広まったことで、その変革の波は財務・経理部門にもやってきていると思います。今まで、財務・経理部門では、月末や期末に請求書発行・受取業務が集中し、残業が常態化しているケースがありました。数百、数千通の請求書の印刷・封入・郵送といった発行処理の他に、届いた請求書を社内承認し、経理が改めてシステムに入力して会計・支払処理を行い、請求書をファイリングするという、受け取り後の膨大な処理業務があるのですから当然です。新型コロナウイルス感染症拡大防止でできるだけ出社業務は減らしたいのに、紙の業務なのでオフィスに行かないと仕事ができませんでした。もし請求書の電子化、ペーパーレス化が進んでいたら、経理担当者への負担はもっと少なくてすんだでしょう。

――電子化に踏み切れない企業があるなかで、請求書の受け渡し業務を電子管理するサービス「BtoBプラットフォーム請求書」は御社が業界トップシェアのようですが、導入が広がっている理由は?

 1つ目には、すでに「BtoBプラットフォーム」のユーザーが広がり、業界で定着しつつあることがあげられます。他社より先行できたのには、当社の沿革が関係しています。1998年に設立した当社の収益の柱は、外食関連の企業と企業の受発注を電子的に効率化するサービスです。かつては外食業界といえば、注文は電話かFAXが当たり前で、全くIT化が進んでいない業界でした。アナログな慣習が根強い業界で、受発注をインターネットでやろうと提案すれば、「何をいっているのか」というような反発が出るのは当たり前です。受発注の提案にいっても、「それは夢のような話だ」といった感じであしらわれることは日常茶飯事でした。
 しかし、インターネット環境の整備が進み、経営の効率化を求める時代の要請もあって、徐々に業界内で導入が進みました。そして、「インフォマートのシステムを通じて受発注管理をしよう」という企業間の紹介も多くなり、今では日本の全飲食店で使われる食材の2割から3割が当社のシステムを通じて発注されています。
 この受発注システムを礎に、機能の一部を取り出して2015年にリリースしたのが、請求書の電子化システムです。受発注と異なり請求業務は各業界共通する面が多く、外食業界以外でも広くお使いいただける形にしました。当初は、これまでの紙ベースの仕事のやり方を変えることに対する抵抗感が強かったのですが、徐々に「BtoBプラットフォーム請求書」の導入を選んでくださる企業が増え、現在、業界・規模を問わず約42万社が利用中で、2019年の年間流通金額は11兆円超となりました。このように広がってきますと、新しいお客様に導入いただいてもその取引先の多くがすでに当社システムを使用しているという状況になり、「導入してよかった」という企業の口コミが積み重なるようになりました。 2つ目の理由としては、発行側と受取側、双方のコスト削減や業務効率化が図れる仕組みを確立しているからです。最近になってさまざまな電子請求書サービスが増えていますが、ほとんどは発行、受取どちらかの機能しかないため、双方のメリットが見出せません。
 また、請求業務でも、当社より簡易な仕組みで、ユーザーが請求書の画像イメージを取引先に送付するようなサービスもありますが、当社の「BtoBプラットフォーム請求書」サービスでは、当社のお客様側はもちろん、お客様の取引先側でも請求書データが電子化されます。したがって、受取側では月次決算が早くでき、それまで手動だった仕訳作業が自動化され、支払通知書の一括送信も可能になります。発行側の企業としても、請求書発行の手間がなくなるだけでなく、企業ごとの個別対応が不要で、取引先の請求書の状況が一元管理でき、入金の消込・督促まで管理を一元化できます。加えて、当社のお客様の取引先でも「電子帳簿保存法」に対応できる効果も得られます。
 当社の請求書の電子化サービスを導入した企業の声をいくつか紹介しますと、「紙の請求書を送っていたこれまでは、月末に締めてから取引先様の手元に届くまで3~5日ほどかかっていたが、今は発行から即日画面上で確認していただける」といった業務の効率化や、「維持費用は、郵送にかかっていた費用を含め全体の60%が削減でき、以前の40%程度に」といったコスト削減の効果をあげる声があります。数千万円のコスト削減を実現した例もあります。 当社のサービスでは、請求書をやり取りする企業の双方で、請求書の受取・発行、両方の請求業務の生産性向上、時短、コスト削減が図れます。さらには、ペーパーレス化を通じてエコを実現する仕組みであるとも言えるでしょう。

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請求書を電子データ化した場合の、請求書を発行する企業(左)と受け取る企業(右)の時間短縮・コスト削減のイメージ(インフォマート資料より)

―― 今後もテレワークやそれを実現するための環境整備が求められます。提供する側としては追い風が続くとも言えますが、企業を経営する立場での心がけはありますか。

 徹底したサポート体制と堅固なITインフラ、そしてセキュリティ管理が大事だと思っています。初めてでも安心して使っていただけるように効果的な導入・稼働のプロセスに力を入れ、また使用開始後もきめ細かなサポート体制をとれるように、外部委託しがちなコールセンターを自前で持っています。わからないことやうまく活用できない場合のアフターフォローが多くの企業に支持されているのだと実感していますので、そこに力を入れる姿勢は今後も貫きたいと思います。

――電話やFAX・郵便・対面などで行われている取引を電子化すると、格段に効率化することができ、これまで発行にかかっていた紙代や郵送費、またそれを封緘・送付する人件費といった経費が削減できます。働き方が変わろうとしている今、テレワークを実現するための策を検討してみてはいかがでしょうか。

(文/平井明日菜 写真/上垣 喜寛)


株式会社インフォマート
代表者:代表取締役社長 長尾 收
本社所在地:東京都港区海岸1−2−3 汐留芝離宮ビルディング13階
設立:1998年2月13日  資本金:32億1,251万円
事業内容:BtoB(企業間電子商取引)プラットフォームの運営
従業員数:567名 (2020年6月末現在)


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