2020/12/09 12:00
12月8日、自民党税制調査会(甘利明会長)は小委員会を開き、政治的判断を要する「マル政等処理」について議論した。研究開発税制の見直しやDX投資減税の創設、住宅ローン控除の控除期間の特例の延長、教育資金一括贈与非課税措置等、部会要望重点項目一覧にない項目に関する改正案が固まった。
2年間の欠損金を最大5年間繰越控除
法人課税では、研究開発税制(総額型)について、2年間の時限措置として、税額控除上限を最大30%まで引き上げる。増加インセンティブが効くよう控除率を見直すとともに控除率の下限を2%へ引き下げ、適用期限を令和4年度末まで2年延長するとした。研究開発税制の対象にクラウド環境で提供するソフトウェア等の自社利用ソフトウェアの製作に要した試験研究費を追加する方向で固まった。
産業競争力の強化に資する税制として、カーボンニュートラルに向けた投資促進税制、デジタルトランスフォーメーション(DX)投資促進税制の創設案の内容が示された。いずれも産業競争力強化法を改正し、同法に定める一定の計画に従って導入される対象設備について税額控除又は特別償却できる時限措置とした。繰越欠損金の控除上限の特例案が示され、コロナ禍で厳しい経営環境にある企業が一定の計画の認定を受けた場合には、2年間にわたって生じた欠損金額を翌期以後最大で5年間、適格投資の範囲内で欠損金の100%繰越控除ができるとした。
中小企業者等の法人税率の特例については、租税特別措置による軽減税率(15%)の適用期限を令和4年度末まで2年延長する方向で固まった。
部会要望重点項目一覧にない項目が判明
個人所得課税では、住宅ローン控除の控除期間13年の特例について延長し、一定の期間に契約した場合は、令和4年末までの入居者を対象とする見直し案を検討。面積要件について、合計所得金額1,000万円以下の者について床面積40㎡~50㎡の住宅も適用対象とする方向で固まった。
資産課税では、教育資金一括贈与非課税措置及び結婚・子育て資金一括贈与非課税措置について、一定の制限を設けたうえで、いずれも令和5年3月31日まで適用期限を2年延長する案が示された。このほか、部会要望重点項目一覧にない項目が明らかになり、所得税・法人税関係では、高度省エネルギー増進設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除について、所要の経過措置を講じた上、本制度の適用期間を1年前倒しして終了する案等が提示された。
~12月8日の議題~
・マル政等処理 |