税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

給与所得者の特別徴収

  • (1) 前年中において給与の支払を受け、かつ、本年4月1日においても給与の支払を受けている者(以下「給与所得者」という。)の場合は、その給与所得者の前年中の給与所得に係る所得割及び均等割は特別徴収の方法によって徴収する。
      すなわち、市町村は先に提出された「給与支払報告書」を基礎に納税者ごとの税額を計算し、4月1日現在の給与の支払者(所得税の源泉徴収義務者に限る。)及びこれを経由してその給与所得者に対し5月末までに通知する(法321の3321の4)。
  • (2) この通知を受けた給与の支払者は、個人住民税の特別徴収義務者となり、その年の6月から翌年の5月までの12か月間毎月(特別徴収税額が、均等割相当額以下の場合は6月分)の給与の支払の際に給与からその通知による税額を差し引き、翌月10日までに市町村に納入しなければならない(法321の5)。
  • (3) 給与所得者が給与以外の所得を有する場合は、市町村の条例によって、給与以外の所得に係る所得割も給与所得の所得割と合わせて特別徴収することができる。ただし、給与所得者が個人住民税の申告書(又は所得税の確定申告書)に給与以外の所得分は普通徴収の方法で徴収されたい旨の申出をしたときは、普通徴収によることになる(法321の3②)。
  • (4) なお、年の中途で給与所得者が退職した場合は退職した日の翌月以降の住民税は特別徴収する必要がない。ただし、6月1日から12月31日までの間に退職等の事由によって給与の支払を受けないこととなった場合で納税者本人から特別徴収の未徴収税額(残税額)を退職以後5月31日までの間に支払われる給与又は退職手当等から徴収されたい旨の申出があった場合及びその事由がその年の翌年1月1日から4月30日までの間において発生した場合には、その支払われる給与又は退職手当等が残税額を超えるときに限り、特別徴収義務者は、その残税額を、給与又は退職手当等から徴収し、徴収した月の翌月10日までに市町村に納入しなければならないことになっている(法321の5②ただし書)。

備考

給与所得者の特別徴収は前年中の所得を基礎に計算した年税額を12か月に均等分割して徴収するものである。したがって、所得税の源泉徴収のように各月の給与や賞与に応じて税額を計算する必要もなく、また、年末調整の手続もない。

給与の支払を受ける者が常時10人未満である事務所等の場合には、市町村長の承認を受けて、6月から11月まで及び12月から翌年5月までの期間に特別徴収した税額を12月10日及び翌年6月10日までに納入することができる(法321の5の2)。

この場合には、特別徴収義務者は退職日の翌月10日までに異動届出書を市町村長に提出する必要がある(法321の5③)。

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