平成元年4月1日以後に行う株式等の譲渡による所得については、他の所得と分離して課税される(法附則35の2①)。
所得割の納税義務者が前年中に株式等を譲渡した場合の譲渡所得等については、総所得金額と区分して、次のように計算して所得割が課税される(法附則35の2、35の2の2)。
- ① 株式等に係る譲渡所得に対する軽減税率
株式等の譲渡所得に係る税率は、5%(道府県民税2%、市町村民税3%)である。
(注) 納税義務者が指定都市の区域内に住所を有する場合の税率は5%(道府県民税1%、市町村民税4%)となる。 - ② 上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除制度
平成21年分以後(特定公社債等については平成29年分以後)の各年分の上場株式等に係る譲渡損失の金額がある場合には、その上場株式等に係る譲渡損失の金額は上場株式等に係る配当所得等の金額(申告分離課税を選択したものに限る。)を限度としてその年分の上場株式等に係る配当所得等の金額の計算上控除することができる。また、所得割の納税義務者の前年前3年内の各年に生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額(前年前において控除されたものを除く。)は、当年度分の株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等の配当所得の金額(申告分離課税を選択したものに限る。)を限度として控除することができる(法附則35の2の6)。
(注1) 平成29年度以後の各年度分について、前年前3年以内の各年に生じた特定公社債等の譲渡損失の金額(前年前において控除されたものを除く。)は、特定公社債等の利子所得等及び譲渡所得等並びに上場株式等の配当所得(申告分離課税を選択したものに限る。)及び譲渡所得等からの繰越控除が可能とされている。
(注2) 個人住民税においては、上場株式等の譲渡損失に係る損益通算及び繰越控除制度の対象を所得税と同一としており、対象となる上場株式等については、租税特別措置法の自動影響を受ける形で規定されていることから、所得税において新しく本特例の対象となる部分(国外転出をする場合の所得税の譲渡所得等の特例の適用による譲渡損失)について影響を遮断することとする(法附則35の2の6)。 - ③ 特定口座内保管上場株式等が価値を失った場合の課税の特例
特定口座内保管上場株式等につき、発行会社の清算結了等による無価値化損失が生じた場合に、株式等の譲渡損失とみなし、株式等に係る譲渡所得等の課税の特例を適用することができる(法附則35の2の3)。
(注) 平成28年1月1日以後、特例の対象として、特定管理口座又は特定口座で管理されている内国法人が発行した特定公社債が追加され、公社債としての価値を失ったことによる損失が生じた場合に、当該損失の金額は特定公社債の譲渡損失とみなすこととされている。
左記の他、特定中小会社が発行した株式に係る譲渡所得等の課税の特例については1098頁参照。
「株式等譲渡所得割」については1102頁参照。
損益通算及び繰越控除の方法等については所得税と同様。
「特定公社債等」については、1104頁参照。
「国外転出をする場合の所得税の譲渡所得等の特例」については、所得税法第60条から第60条の4に規定されている。
「特定公社債」については、所得税の項「平成28年1月1日以後に支払を受ける特定公社債等の利子等の課税(備考)」を参照。