税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

税額控除

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税務研究会お試し

 所得割の額から控除する税額控除の金額は、次のとおりである。

(1) 配当控除

  個人住民税の所得割の納税義務者のうち、前年に内国法人から受けた配当所得を有するときは、その配当所得の金額に次に掲げる配当控除率を乗じた額を所得割の額から控除することとされている(法附則5)。

  すなわち、配当所得の金額を上積とし、配当所得以外の金額と合わせた課税総所得金額が、1,000万円に達するまでの配当所得の金額については次のA欄、1,000万円を超える配当所得の金額についてはB欄の配当控除率を乗じて得た額が配当控除額となる。

区分配当控除率
道府県民税1.2%(0.56%)
市町村民税1.6%(2.24%)
道府県民税0.6%(0.28%)
市町村民税0.8%(1.12%)

(注) 上記表の(  )内の控除率は、指定都市の区域内に住所を有する納税義務者について適用される。

備考

租税特別措置法第9条第1項各号に掲げる配当等については、配当控除は適用しない(法附則5①)。

特定株式投資信託以外の証券投資信託の収益の分配に係る配当所得(一般外貨建等証券投資信託に係るものを除く。)ついては、左表の控除率の2分の1の数値が控除率に、一般外貨建等証券投資信託の収益の分配に係る配当所得については、左表の控除率の4分の1の数値が控除率となる。

(2) 寄附金税額控除(法37の2314の7、地方附則5の5)

  • ① 納税義務者が、前年中に次に掲げる寄附金を支出し、その金額の合計額(総所得金額等の30%を限度とする)が2,000円を超える場合、その超える金額の4%を道府県民税から、6%を市町村民税から控除する。
     (注) 納税義務者が指定都市の区域内に住所を有する場合、2,000円を超える金額の2%を道府県民税から、8%を市町村民税から控除する。
      ただし、○ハに該当する寄附金については、都道府県が条例で定めるものについては都道府県税から、市区町村が条例で定めるものについては市区町村税から控除される。
    • ○イ 都道府県、市町村又は特別区に対する寄附金
    • ○ロ 社会福祉法に規定する共同募金会又は日本赤十字社に対する寄附金
    • ○ハ 所得税法の寄附金控除金の対象となる寄附金(国に対する寄附金及び政党等に対する政治活動に関する寄附金を除く。)のうち、住民の福祉の増進に寄与するものとして都道府県又は市区町村が条例で定めるもの
    • ○ニ NPO法人の行う特定非営利活動に係る事業に関連する寄附金のうち、住民の福祉の増進に寄与する寄附金として、都道府県又は市町村の条例で定めるもの(特別の利益が寄附をした納税義務者に及ぶものを除く。)
  • ② 都道府県、市町村又は特別区に対する寄附金については、上記の税額控除の適用に加え、2,000円を超える金額に「90%-その者に適用される所得税の限界税率」を乗じて得た金額(個人住民税所得割額の20%を限度とする)の5分の2を道府県民税から、5分の3を市町村民税から控除する(特例控除)。

(注1) 平成26年度から令和20年度までの間の各年度分については、所得税の限界税率に当該所得税の限界税率に復興特別所得税率(2.1%)を乗じて得た率を加算する(地法附則5の6)。

(注2) 納税義務者が指定都市の区域内に住所を有する場合、控除される割合は、道府県民税が5分の1、市町村民税が5分の4となる。

(注3) 都道府県、市町村又は特別区(以下、都道府県等という。)に対する寄附金のうち、特例控除対象寄附金(都道府県等に対する寄附金であって、総務大臣が定める基準に適合する都道府県等として総務大臣が指定するものに対するものをいう。)に該当する寄附金に限り特例控除の対象となる。

備考

確定申告が不要な給与所得者等については、ふるさと納税先団体数が5以下である場合等に限り、当分の間、ふるさと納税先団体へ寄附する際に申請することで、確定申告をすることなく寄附金控除が受けられる(「ふるさと納税ワンストップ特例制度」)(法附則7、7の2、7の3)。

都道府県等が返礼品を提供する場合には、返礼品の返礼割合が3割以下であることや返礼品が地場産品であること等も指定の基準となる。

(3) 外国税額控除(法37の3314の8令7の1948の9の2

  所得割の納税義務者が外国の法令によって、所得税又は道府県民税若しくは市町村民税の所得割に相当する税を課された場合は、外国で課された所得税等の額のうち所得税の控除限度額を超える額があるときは、所得税の控除限度額の道府県民税については12%、市町村民税については18%を限度として所得割の額から控除する。

(注) 所得割の納税義務者のうち前年に非居住者であった期間を有する者についても、当該期間内の恒久的施設帰属所得に課せられる外国の所得税等がある場合に限り、非居住者に係る外国税額控除を適用できる(法37の3314の8)。

(4) 住宅借入金等特別税額控除(法附則5の4、5の4の2)

  • ① 平成11年から平成18年までに住宅に入居した者で、当該新築又は増改築をした住宅について所得税の住宅ローン特別控除の適用がある者に対して、所得税の住宅ローン控除可能額のうち所得税において控除しきれなかった額を個人住民税から控除する。
  • ② 平成21年から平成26年3月までに住宅に入居した者で、当該新築又は増改築をした住宅について所得税の住宅ローン特別控除の適用がある者に対して、次のいずれか小さい額を個人住民税から控除する。
    • ○イ 所得税の住宅ローン控除可能額のうち所得税において控除しきれなかった額
    • ○ロ 所得税の課税総所得金額等の額に100分の5を乗じて得た額(9.75万円を超える時は9.75万円)
  • ③ 平成26年4月から令和4年12月までに住宅に入居した者で、当該新築又は増改築をした住宅について所得税の住宅ローン特別控除の適用がある者に対して、次のいずれか小さい額を個人住民税から控除する。
    • ○イ 所得税の住宅ローン控除可能額のうち所得税において控除しきれなかった額
    • ○ロ 所得税の課税総所得金額等の額に100分の7を乗じて得た額(13.65万円を超える時は13.65万円)

備考

平成22年度以後の個人住民税の住宅ローン特別控除について、納税者は市町村への申告を必要としない。これは、市町村が給与支払報告書等により必要な情報を把握できるためであり、年末調整において所得税の住宅ローン特別控除の適用を受けている給与所得者も同様である。

③に該当する者のうち、住宅の対価の額又は費用の額に含まれる消費税等の税率が8%又は10%である場合以外の場合における者の控除額は、所得税の住宅ローン控除可能額のうち所得税において控除しきれなかった額と所得税の課税総所得金額等の額に100分の5を乗じて得た額(9.75万円を超える場合は、9.75万円)いずれか小さい額となる。

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