付加価値割額、資本割額及び所得割額の合算額によって課する法人について事業税に係る徴収猶予制度がある(法72の38の2)。
- (1) 徴収猶予の要件
道府県知事は、次の①又は②のいずれかに該当する場合において、事業税を納付することが困難であると認めるときは、当該法人の申請に基づき、3年以内の期間を限り、事業税の全部又は一部の徴収を猶予することができる。この場合、その金額を適宜分割して納付すべき期限を定めることを妨げない。 - ① 事業税の申告書に係る事業年度終了の日の翌日から起算して3年前の日の属する事業年度から事業税の申告書に係る事業年度までの各事業年度の所得がない一定の法人
- ② 事業税の申告書に係る事業年度(その終了の日が当該法人の設立の日から起算して5年を経過した日よりも前である事業年度に限る。)の所得がない法人で一定のもの
- (2) 徴収猶予の延長
道府県知事は、(1)により徴収を猶予した場合において、その猶予をした期間内にその猶予をした金額を納付することができないやむを得ない理由があると認めるときは、当該法人の申請により、3年以内の期間を限りその期間を延長することができる。 - (3) 延滞金の免除
徴収の猶予をした場合には、その猶予をした事業税に係る延滞金額のうち、当該徴収の猶予をした期間に対応する部分の金額の2分の1に相当する金額は、免除する。
また、事業の状況により当該猶予に係る延滞金の納付を困難とするやむを得ない理由があると認められるとき等については、残りの延滞金額についても納付が困難と認められるものを限度として免除することができる。 - (4) 徴収猶予の取消し
徴収の猶予を受けた法人の財産の状況その他の事情の変化により、その猶予を継続することが適当でないと認められるとき等においては、その徴収の猶予を取り消し、その猶予に係る徴収金を一時に徴収することができる。
①の一定の法人とは、経営の状況が著しく悪化し、又は悪化するおそれがあると認められ、かつ、これによってその地域における雇用の状況その他地域経済に重大な影響を及ぼし、又は及ぼすおそれがあると認められる法人をいう(令31①)。
②の一定のものとは、著しい新規性を有する技術又は高度な技術を利用した事業活動を行っている法人であつて、当該事業活動が地域経済の発展に寄与すると認められるものをいう(令31②)。