(1) 非課税とされる用途に供する土地に係る徴収猶予・課税免除(法601)
- ① 土地の所有者又は取得者(以下「土地の所有者等」という。)が、その取得し又は所有する土地を先に述べた非課税用途に供しよう又は供させようとする場合において、当該市町村がその事実を認定したときは、その認定したところにより定める日から原則として2年を経過する日までの期間(以下「納税義務の免除期間」という。)に限って、その土地に係る特別土地保有税に係る徴収金の徴収の猶予が認められる。
なお、災害その他やむを得ない理由により納税義務の免除期間内に非課税用途として使用することができないと認められる場合には、土地の所有者等の申請により、市町村長が定める相当の期間に限って、その延長が認められる。 - ② 徴収猶予される特別土地保有税に係る徴収金は、本税のほか附帯税を含み、また納税義務の免除期間に申告すべき当該土地に係る特別土地保有税の全部である。
- ③ 土地の所有者等が、徴収猶予に係る土地を納税義務の免除期間内において非課税用途土地として使用し、かつ、その使用が開始されたことについて市町村長の確認を受けたときは、その土地についての納税義務の免除期間に係る特別土地保有税の納税義務が免除される。すなわち、免除期間の初日からその土地が非課税であったと同様の結果となる。
- ④ 納税義務の免除期間内に、その土地が非課税用途土地として使用されないことが明らかとなったとき等においては、その徴収猶予の取消しが行われ、直ちに徴収猶予に係る徴収金を納付しなければならないものとされている。
- ⑤ なお、上記により納税義務が免除されることとなった特別土地保有税に係る徴収金のうち既に納付されていたものがある場合には、その税額は還付される。
(1)により徴収猶予・課税免除の適用を受けるための手続き……取得し又は保有する土地を非課税用途に供しよう又は供させようとする場合には、非課税用途として使用する予定年月日等を記載した申請書及び事業計画書を、その使用しようとする日から一定期間内に市町村長に提出する。市町村長は、その申請等を勘案して、「納税義務の免除期間」の始期を定める(令54の42①②、規16の20)。
非課税用途に供した確認……非課税用途に供した確認を受けようとする場合には、非課税用途として使用開始した日等を記載した申請書を市町村長に提出する(令54の42⑧)。
市町村長が、その確認申請に基づいて確認したときは、納税義務の免除期間に係る当該土地に係る特別土地保有税の課税が免除される。
その後は、用途による非課税要件に該当して特別土地保有税は課されないこととなる。
既に納税義務の免除期間が定められた土地の所有者等がその土地について、その納税義務の免除期間内に、新たな用途又は土地の譲渡の目的を理由として認定申請をする場合には、納税義務の免除期間の起算日を申請書の提出前の日で市町村長が相当と認める日とすることができることとされる(令54の42③④)。
優良な宅地供給事業関係及び公共事業用地の代替地関係等
- (2) 土地譲渡益重課の適用除外土地及び公共事業者が取得する公共事業用地の代替地等に係る徴収の猶予・課税免除(法602、令54の45)
次の①~③に掲げる者が、それぞれ次に述べる土地の譲渡をしようとする場合において、市町村長がその事実を認定したところにより定める日から原則として2年を経過する日までの期間に限って、その土地に係る特別土地保有税に係る徴収金の徴収の猶予が認められる。
なお、当該土地が納税義務の免除期間内に譲渡され、かつ、下記の要件に該当する譲渡であったことにつき、市町村長の確認を受けたときは、納税義務の免除期間に係る特別土地保有税の納税義務が免除される。
この場合の徴収猶予の取消し・還付については、(1)の場合と同様に扱われる。 - ① 土地の所有者等
- (イ) 土地の譲渡で国又は地方公共団体に対するもの((ロ)に掲げるものを除く。)
- (ロ) 土地の贈与による譲渡であって、法人税法に規定する寄附金に係る寄附に該当するもので一定のもの
- (ハ) 土地の譲渡で独立行政法人都市再生機構、土地開発公社等の宅地・住宅の供給又は土地の先行取得の業務を行うことを目的とする法人で、その譲渡に係る土地がその業務を行うために直接必要であると認められるもの(土地開発公社に対する土地の譲渡である場合には、公有地の拡大の推進に関する法律第17条第1項第1号ニに掲げる土地の譲渡を除く。)
- (ニ) 宅地供給に資する土地の譲渡で一定のもの
- (ホ) 土地の譲渡で民間都市開発推進機構に対するものであって、当該土地が業務を行うために直接必要であると認められるもの
- ② 土地又は家屋を収用することができる事業(以下「公共事業」という。)を行う者……当該公共事業の用に供するため不動産を収用された者、当該公共事業を行う者に当該公共事業の用に供するため不動産を譲渡した者又は当該公共事業の用に供するため収用され、若しくは譲渡した土地の上に建築されていた家屋について移転補償金を受けた者に対する譲渡で、当該被収用不動産等に代わるものと市町村長が認める土地(代替地)の譲渡(土地収用法第82条の規定により代替地補償として行われる代替地の譲渡以外の場合には、被収用不動産等に係る収用、譲渡が行われた日から、2年以内に行われるものに限られる。)
- ③ 土地開発公社又は独立行政法人都市再生機構……これらの者が公共事業を行う者に代わって当該公共事業の用に供する不動産を取得する場合において、これらの者に当該公共事業の用に供する不動産を譲渡した者又は当該譲渡に係る土地の上に建築されていた家屋について移転補償金を受けた者に対する譲渡で、当該被買収不動産等に代わるものと市町村長が認める土地(代替地)の譲渡(その譲渡等の日から2年以内に行われるものに限られる。)
徴収猶予、課税免除を受ける場合の手続……上記(1)の場合に準じて定められている(令54の45⑧、規16の22の2)。
(ロ)の一定の譲渡とは、国又は地方公共団体に対する無償の譲渡とされる(令54の45①)。
(ハ)の対象となる法人は、左に掲げるものの外に、独立行政法人空港周辺整備機構、成田国際空港株式会社、独立行政法人中小企業基盤整備機構、地方住宅供給公社及び日本勤労者住宅協会並びに公益社団法人又は公益財団法人で一定の要件を満たすものとされる(令54の45②)。
(ニ)の一定の譲渡とは、都市計画法の開発許可を受けた土地の所有者等が造成した一団の宅地の譲渡等とされる(令54の45④)。
左の②③に該当する徴収猶予・課税免除は、これらの被収用不動産等又は被買収不動産等に代わるものと市町村長が認める土地のうち、当該被収用不動産等又は被買収不動産等に係る補償金、対価又は移転補償金の額に対応するものとして定められた一定の土地の譲渡に限られる(令54の45⑦、規16の22④)。