税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

特定組合員等の不動産所得に係る損益通算等の特例

  • (1) 制度の概要
      特定組合員又は特定受益者に該当する個人が、組合事業又は信託から生ずる不動産所得を有する場合、その年分の不動産所得の金額の計算上その組合事業又は信託による不動産所得の損失の金額があるときは、その損失の金額に相当する金額は、その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額を不動産所得の金額とする規定(法26②)、損益通算の規定(法69①)その他の所得税に関する法令の規定の適用については生じなかったものとみなされ、同一年中にその損失の金額の他に別の組合事業若しくは信託による不動産所得の黒字の金額又は組合事業若しく信託以外の一般の不動産所得の黒字の金額があったとしても当該損失の金額はこれら黒字の不動産所得の金額と通算することができず、また、給与所得等の他の所得との損益通算もすることができない(措法41の4の2①)。
  • (2) 特例の対象となる組合契約の範囲
      特例の対象となる組合契約とは、次に掲げる組合契約(以下「組合契約」という。)をいう(措法41の4の2①一、措令26の6の2⑤)。
    • ① 民法第667条第1項に規定する組合契約(いわゆる任意組合契約)
    • ② 投資事業有限責任組合契約に関する法律第3条第1項に規定する投資事業有限責任組合契約
    • ③ 外国における上記①及び②に類する契約(外国における有限責任事業組合契約に関する法律第3条第1項に規定する有限責任事業組合契約に類する契約を含む。)
  • (3) 特例の対象となる特定組合員の範囲
      特例の対象となる特定組合員とは、組合契約を締結している組合員(組合契約のうち外国におけるこれらに類する契約を締結している者を含む。)である個人のうち、組合事業に係る重要な財産の処分若しくは譲受け又は組合事業に係る多額の借財に関する業務(以下「重要業務」という。)の執行の決定に関与し、かつ、その重要業務のうち契約を締結するための交渉その他の重要な部分を自ら執行する組合員以外のものをいう。
  • (4) 特例の対象となる特定受益者の範囲
      特例の対象となる特定受益者とは、信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)又は信託の変更をする権限を現に有し、かつ、当該信託の信託財産の給付を受けることとされている者をいう(措法41の4の2①)。
  • (5) 組合事業等による不動産所得の損失の金額の計算
      組合事業又は信託による不動産所得の損失の金額とは、特定組合員又は特定受益者のその年分における組合事業又は信託から生ずる不動産所得に係る総収入金額に算入すべき金額の合計額がその組合事業又は信託から生ずる不動産所得に係る必要経費に算入すべき金額の合計額に満たない場合におけるその満たない部分の金額に相当する金額をいう(措令26の6の2④)。

備考

個人が複数の組合契約を締結している場合の組合事業による不動産所得の損失の金額の計算及び特定組合員に該当するかどうかの判定は、各組合契約に係る組合の事業ごとに計算し、判定をする(措法41の4の2②二)。

有限責任事業組合契約に関する法律第3条に規定する有限責任事業組合契約については本特例の対象となる組合契約の範囲から除かれているが、組合員の共同事業性の要件を満たさない有限責任事業組合については、本特例の対象となる組合契約に該当することになる。

組合契約を締結している組合員である個人が、各年において特定組合員に該当するかどうかは、その年の12月31日において判定する(措令26の6の2②)。

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