税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

有限責任事業組合の事業に係る組合員の事業所得等の所得計算の特例

この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。

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 有限責任事業組合契約に関する法律(以下「有限責任事業組合契約法」という。)第3条第1項に規定する有限責任事業組合契約(以下「組合契約」という。)を締結している組合員である個人が、各年において、その組合契約に基づいて営まれる事業(以下「組合事業」という。)から生ずる不動産所得、事業所得又は山林所得を有する場合においてその組合事業によるこれらの所得の損失の金額として計算した金額があるときは、その損失の金額のうちその組合事業に係るその個人の出資の価額を基礎として計算した金額(以下「調整出資金額」という。)を超える部分の金額に相当する金額は、その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しない(措法27の2①)。

備考

左記の必要経費に算入しないこととされる調整出資金額を超える部分の金額に相当する組合事業による事業所得等の損失額(以下「必要経費不算入損失額」という。)が、その個人の組合事業から生ずる不動産所得、事業所得又は山林所得のうち二以上の所得から生じたものであるときは、その必要経費不算入損失額を、その二以上の所得に係るそれぞれの損失額により按分して計算した金額に相当する金額をもって、その必要経費不算入損失額はその二以上の所得のそれぞれから生じた組合事業による事業所得等の損失額から成るものとされている(措規9の8③)。

調整出資金額の計算

 調整出資金額は、有限責任事業組合の計算期間(有限責任事業組合契約法第4条第3項第8号の組合の事業年度の期間をいう。以下同じ。)の終了の日の属する年におけるその組合契約を締結している組合員である個人のその有限責任事業組合の組合事業に係る次の①及び②に掲げる金額の合計額から③に掲げる金額を控除した金額(その金額が零を下回る場合には、零)による(措法27の2①、措令18の3②、措規9の8①)。

  • ① その年に計算期間の終了の日が到来する計算期間の終了の時までにその個人がその組合契約に基づいて有限責任事業組合契約法第11条の規定により出資をした同条の金銭その他の財産の価額で同法第29条第2項の規定によりその有限責任事業組合の会計帳簿に記載された同項の出資の価額の合計額に相当する金額
  • ② その年の前年に計算期間の終了の日が到来する計算期間以前の各計算期間においてその個人のその有限責任事業組合の組合事業から生ずる各種所得の合計額のその各計算期間における合計額に相当する金額
  • ③ その年に計算期間の終了の日が到来する計算期間の終了の時までにその個人が交付を受けた金銭その他の資産に係る有限責任事業組合契約法第35条第1項に規定する分配額のうちその個人がその交付を受けた部分に相当する金額の合計額に相当する金額

有限責任事業組合等に係る組合員所得に関する計算書の提出

 有限責任事業組合契約によって成立する有限責任事業組合の業務を執行する有限責任事業組合契約法第29条第3項に規定する会計帳簿を作成した組合員又は投資事業有限責任組合契約によって成立する投資事業有限責任組合の業務を執行する無限責任組合員は、その有限責任事業組合又は投資事業有限責任組合に係る各組合員(これらの組合契約に定める計算期間の中途において脱退又は加入をした組合員を含む。)に生ずる利益の額又は損失の額につき、その各組合員別に、組合員の氏名又は名称等の事項を記載した「有限責任事業組合等に係る組合員所得に関する計算書」を、その計算期間の終了の日の属する年の翌年1月31日(投資事業有限責任組合の無限責任社員が提出する場合には、同日又は投資事業有限責任組合契約において定める計算期間の終了の日の翌日から2月を経過する日のいずれか遅い日)までに、その有限責任事業組合又は投資事業有限責任組合の主たる事務所の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない(法227の2令353の2規96の2①)。

(注) 組合員が個人又は法人のいずれの場合でも提出を要する。

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