税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予

この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。

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  • (1) 国外転出をする居住者でその国外転出の時において有する有価証券等又は契約を締結している未決済デリバティブ取引等につき、国外転出をする場合の譲渡所得等の特例等(法60の260の3。以下「国外転出特例」という。)の適用を受けたものが、その国外転出の日の属する年分の確定申告書に納税猶予を受けようとする旨の記載をした場合には、その国外転出等の日の属する年分の所得税のうち本特例によりその有価証券等の譲渡又は未決済デリバティブ取引等の決済があったものとされた所得に係るものについては、その国外転出等の日から満了基準日(その国外転出の日から5年を経過する日又は帰国等の場合に該当することとなった日のいずれか早い日をいう。以下同じ。)の翌日以後4月を経過する日まで、その納税を猶予する(法137の2137の3)。
     (注) 上記の「5年」は、届出により「10年」とすることができる。
      なお、この納税猶予は、国外転出等の時までに納税管理人の届出をし、かつ、その所得税に係る確定申告期限までに納税猶予分の所得税額に相当する担保を供した場合に適用する。
      また、この納税猶予を受ける者は、国外転出等の日の属する年分の所得税に係る確定申告期限から納税猶予に係る期限までの間の各年の12月31日におけるその納税猶予に係る有価証券等の所有及び未決済デリバティブ取引等に係る契約に関する届出書を、同日の属する年の翌年3月15日までに、税務署長に提出しなければならない。その届出書を提出期限までに提出しなかった場合には、その提出期限から4月を経過する日をもって、納税猶予に係る期限となる(法137の2⑥⑧、137の3⑦⑨)。
     (注) 納税猶予に係る期限の到来により所得税を納付する場合には、その納税猶予がされた期間に係る利子税を納付する義務が生ずる。
  • (2) 国外転出特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予に係る満了基準日までに、国外転出特例の対象となった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等の譲渡又は決済等をした場合には、その納税猶予に係る所得税のうちその譲渡又は決済等があった有価証券等又は未決済デリバティブ取引等に係る部分については、その譲渡又は決済等があった日から4月を経過する日をもって納税猶予に係る期限とする(法137の2⑤、137の3⑥)。
      なお、この場合において、その譲渡又は決済等に係る譲渡価額又は利益の額が国外転出等の時に課税が行われた額を下回るときなどの場合には、その譲渡又は決済等があった日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その国外転出の日の属する年分の所得金額又は所得税額の減額をすることができる(法153の2①②)。
  • (3) 国外転出特例の適用を受けた者で納税猶予を受けているものが、その納税猶予に係る期限が到来した場合にはその納税猶予に係る所得税の納付をすべきこととなるが、その期限が到来した日における有価証券等の価額又は未決済デリバティブ取引等の決済による利益の額が国外転出特例の対象となった金額を下回るときなどの場合には、その到来の日から4月を経過する日までに、更正の請求をすることにより、その国外転出等の日の属する年分の所得金額又は所得税額の減額をすることができる(法153の2①③)。

備考

「国外転出等」とは、国内に住所及び居所を有しないこととなること等をいう。

「有価証券等」とは、所得税法に規定する有価証券及び匿名組合契約の出資の持分をいう。

「未決済デリバティブ取引等」とは、決済していないデリバティブ取引、信用取引及び発行日取引をいう。

「帰国等」とは、その者が帰国すること若しくは国外転出等の時において有していた有価証券等又は契約を締結していた未決済デリバティブ取引等に係る契約が贈与又は相続(限定承認に限る。)若しくは遺贈(限定承認に限る。)により移転を受けた全ての者が居住者となること等をいう(法60の2⑥一三、令266の2①)。

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