税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

特定口座内保管上場株式等の譲渡に係る所得計算等の特例

この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。

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 一定の要件を満たす特定口座を設定した場合において、その特定口座に係る振替口座簿に記載若しくは記録がされ、又は特定口座に保管の委託がされている上場株式等(「特定口座内保管上場株式等」という。)の譲渡又はその特定口座において処理した信用取引等(信用取引又は発行日取引をいう。以下同じ。)による上場株式等の譲渡若しくはその信用取引等の決済のために行う上場株式等の譲渡(「信用取引等に係る上場株式等の譲渡」という。)による所得の金額については、他の株式等の譲渡による所得と区分して、これらの金額を計算する(措法37の11の3①②)。

 この場合において、特定口座内保管上場株式等を譲渡した場合等の必要経費又は取得費の計算は、次によることとされる(措令25の10の2①一~三、②)。

  • (1) 2回以上にわたって取得した同一銘柄の特定口座内保管上場株式等の譲渡による事業所得の金額の計算上必要経費に算入する売上原価の計算は、総平均法に準ずる方法により行う。
  • (2) 特定口座外に特定口座内保管上場株式等と同一銘柄の株式等を所有している場合には、それぞれその銘柄が異なるものとして取得費等を計算する。
  • (3) 一の特定口座において同一の日に2回以上の同一銘柄の譲渡がある場合には、その同一の日における最後の譲渡の時にこれらの譲渡があったものとみなして取得費等の計算を行う。
  • (4) 特定口座内保管上場株式等と特定口座内保管上場株式等以外の株式等の譲渡に共通する必要経費がある場合には、当該必要経費の額は、それぞれに一定の基準により配分してその所得の金額を計算する(信用取引等に係る上場株式等の譲渡とその信用取引等に係る上場株式等の譲渡以外の株式等の譲渡に共通する必要経費についても、同様に取り扱われる(措令25の10の2④))。

備考

特定口座とは、居住者等が金融商品取引業者、登録金融機関又は投資信託委託会社の営業所(国内にある営業所又は事務所をいう。)の長に、「特定口座開設届出書」を提出して、その金融商品取引業者等との間で締結した「上場株式等保管委託契約」又は「上場株式等信用取引等契約」に基づき開設された上場株式等の振替口座簿への記載等若しくは保管の委託又は上場株式等の信用取引等に係る口座(これらの契約及び「上場株式配当等受領委任契約」に基づく取引以外の取引に関する事項を扱わないものに限る。)をいう(措法37の11の3③一)。

「上場株式等保管委託契約」とは、この特例の適用を受けるために金融商品取引業者等と締結した上場株式等の振替口座簿への記載等又は保管の委託に係る契約(信用取引等に係るものを除く。)で、その契約書において、上場株式等の振替口座簿への記載等又は保管の委託は当該記載等又は保管の委託に係る口座に設けられた特定保管勘定において行うこと等の一定の事項が定められているものをいう(措法37の11の3③二、措令25の10の2⑥⑦⑨~⑪⑬~○22)。

「上場株式等信用取引等契約」とは、この特例の適用を受けるために金融商品取引業者等と締結した上場株式等の信用取引等に係る契約で、その契約書において、上場株式等の信用取引等はその信用取引等に係る口座に設けられた特定信用取引等勘定において処理すること等の一定の事項が定められているものをいう(措法37の11の3③三、措令25の10の2○24)。

「上場株式配当等受領委任契約」とは、居住者等が金融商品取引業者等と締結した上場株式等の配当等の受領の委任に関する契約で、その契約書において、当該金融商品取引業者等が支払の取扱いをする上場株式等の配当等を当該上場株式等の配当等の受領に係る源泉徴収選択口座に設けられた特定上場株式配当等勘定に受け入れることができること等の一定の事項が定められているものをいう(措法37の11の6④一)。

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