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特定中小会社が発行した株式に係る譲渡損失の繰越控除等の特例
中小企業等経営強化法第6条に規定する特定新規中小企業者に該当する株式会社その他一定の会社(以下「特定中小会社」という。)が発行する一定の株式を払込みにより取得をした居住者等について、(イ)その払込みにより取得をした株式が株式としての価値を失ったことによる損失が生じた場合、または、(ロ)その払込みにより取得した株式の譲渡をしたことにより生じた損失の金額のうち、その譲渡をした日の属する年分の一般株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除してもなお控除しきれない金額を有する場合には、次の特例の適用が認められる(措法37の13の2)。
備考
「特定中小会社」とは次の①から③までに掲げる株式会社をいい、この特例の適用対象となる「特定株式」とは、次の①から③までに掲げる特定中小会社の区分に応じそれぞれに定める株式をいう(措法37の13①、措令25の12⑧)。なお、②の特定株式については平成16年4月1日以後に取得するものが、③の特定株式については平成26年4月1日以後に取得するものが対象とされる。
同一の株式会社が発行した株式であっても、その株式会社が設立後10年(又は5年)を経過したこと等により特定中小会社に該当しなくなった後に発行した株式は、特定株式には該当しないため、この特例の適用対象にはならない。
価値喪失株式に係る損失の金額の特例
① 価値喪失株式に係る損失の金額の特例
特定中小会社により発行された株式その他一定の株式(以下「特定株式」という。)を払込みにより取得をした居住者又は恒久的施設を有する非居住者について、その特定中小会社の設立の日からその特定中小会社が発行した株式に係る上場等の日の前日までの期間内に、その特定株式が株式としての価値を失ったことによる損失が生じた場合としてその特定中小会社の清算結了等の一定の事実が発生したときは、その事実が発生したことはその特定株式の譲渡をしたことと、その損失の金額はその特定株式の譲渡をしたことにより生じた損失の金額とそれぞれみなして所得税関係の法令の規定を適用する(措法37の13の2①④、措令25の12の2②③)。
この特例により、その払込みにより取得をした特定株式が株式としての価値を失ったことによる損失の金額は、特定株式の譲渡をしたことにより生じた損失の金額として、一般株式等及び上場株式等の譲渡に係る事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除される。
損失が生じたものとされる一定の事実
払込みにより取得をした特定株式が株式としての価値を失ったことによる損失が生じたこととされる一定の事実の発生とは、次のイ、ロのいずれかの事実の発生とされている(措法37の13の2①一、二、措令25の12の2③)。
備考
清算が結了したこととは、通常清算又は特別清算が結了したことをいう。
特定株式に係る繰越控除の特例
② 特定株式に係る譲渡損失の金額の繰越控除の特例
確定申告書を提出する居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、その年の前年以前3年内の各年において生じた「特定株式に係る譲渡損失の金額」(この特例の適用を受けることにより前年以前において控除されたものを除く。)を有する場合には、その特定株式に係る譲渡損失の金額は、その確定申告書に係る年分の一般株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る譲渡所得等の金額を限度として、その一般株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除することができる(措法37の13の2⑦)。
この特例の対象となる「特定株式に係る譲渡損失の金額」とは、居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、適用期間内に、払込みにより取得をした特定株式の譲渡をしたことにより生じた損失の金額のうち、その譲渡をした日の属する年分の一般株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除してもなお控除しきれない部分の金額をいう(措法37の13の2⑧)。