税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の特例

この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。

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〈制度の概要〉

  • (1) 買換えの特例
    • ① 個人が、その有する首都圏の既成市街地、近畿圏の既成都市区域若しくは名古屋市の区域又は一定の再開発事業の促進地区内にある土地等、建物若しくは構築物(これらの資産のうちその個人の事業の用に供しているものを除く。)をその土地等又はその敷地の上に地上階数4以上の中高層耐火建築物の建築をする事業(特定民間再開発事業)の用に供するために譲渡し、その譲渡の日の属する年中又は翌年中(工場等の建設等に要する期間が通常1年を超えるやむを得ない事情がある場合において税務署長の承認を受けたときは最長翌年後3年内)に、○イその譲渡をした土地等又は敷地の上に建築されたその中高層耐火建築物又は○ロ同一地区内で行われる他の特定民間再開発事業により建築された中高層の耐火建築物の全部又は一部を取得して、その取得の日から1年以内に居住の用に供し、又は供する見込みであるとき、
    • ② 個人が、その有する三大都市圏における既成市街地等(これに準ずる一定の区域を含む。)又は中心市街地活性化法に係る一定の中心市街地共同住宅供給事業の区域内にある土地等、建物又は構築物を譲渡し、その譲渡の日の属する年中又は翌年中(工場等の建設等に要する期間が通常1年を超えるやむを得ない事情がある場合において税務署長の承認を受けたときは最長翌年後3年内)に、その譲渡をした土地等又は敷地の上に建築された地上階数3以上の主として住宅の用に供される中高層耐火共同住宅の全部又は一部を取得してその取得の日から1年以内に事業の用若しくは居住の用に供し、又は供する見込みであるときは、これらの譲渡所得の課税について、譲渡がなかったものとする取得価額の引継ぎによる課税の繰延べの特例が認められる(措法37の5①)。
        上記①、②において、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律の規定による災害に基因するやむを得ない事情がある場合で一定の要件を満たしたときは特例の適用を受けることができる(措法37の5②)。
        また、上記①の中高層の耐火建築物を建築する事業の用に供するために土地等、建物又は構築物を譲渡した個人が、○ロの中高層の耐火建築物の全部又は一部の取得をすることが困難である特別な事情がある場合には、一定の要件の下に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例又は特定の事業用資産の買換えの課税の特例の適用を受けることが認められる(措法37の5⑤)。
  • (2) 交換の特例
     個人が、上記(1)で述べた譲渡資産に該当する資産(交換譲渡資産という。)と買換資産に該当する資産(交換取得資産という。)との交換を行った場合又は交換譲渡資産と交換取得資産に該当しない資産との交換(他資産との交換という。)をし、かつ、交換差金を取得した場合についても、
    • ① 交換譲渡資産(他資産との交換の場合は、交換差金に対応する部分)は、その交換の日において、その日におけるその資産の価額に相当する金額で譲渡があったものとし、
    • ② 交換取得資産は、その交換の日において、その日におけるその資産の価額に相当する金額で取得したものとして、

上記(1)の買換えの特例が適用される(措法37の5④)。

〈特例の対象となる譲渡又は資産〉

  • (1) 対象となる譲渡
     一般的な任意の売買による譲渡のほか、借地権や地役権の設定等による対価が譲渡所得とされる場合のその設定行為も対象となる。
  • (2) 対象とされない譲渡
     上記の土地等の譲渡が、次に掲げる場合に該当するときは、上記の取得資産の取得が行われても、この特例は適用しない。
    • ① その土地等の譲渡につき、収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例、5,000万円から100万円までの特別控除、居住用財産の買換えの特例、特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受ける場合(これらの特例と選択適用が認められている。)
    • ② その土地等が贈与、交換又は出資により譲渡されたものである場合
  • (3) 対象とされない取得
     取得資産の取得には、取得資産の建設を含むこととされているが、贈与、交換又は所有権移転外リース取引により取得するものは対象とされない。

〈譲渡所得の金額及び所得税額の計算〉

  • (1) 譲渡資産の譲渡価額が取得資産の取得価額以下のとき…譲渡資産の譲渡がなかったものとする。
  • (2) 譲渡資産の譲渡価額が取得資産の取得価額を超えるとき…譲渡資産のうち、次により計算されるその超える金額に相当する部分について譲渡があったものとされる。
    〔譲渡資産の収入金額(A)-買換資産の取得価額(B)〕-〔譲渡資産の取得費+譲渡費用〕×{〔(A)-(B)〕/(A)}=譲渡があったものとされる譲渡資産に係る譲渡益
  • (3) 中高層の耐火建築物を取得することが困難である特別な事情がある場合に認められる特定の事業用資産の買換えの特例の課税繰延べ割合は、80%とされている。

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