税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除

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 個人が、国内において、居住用家屋の新築若しくは新築住宅で建築後使用されたことのないもの若しくは既存住宅(耐震基準又は経過年数基準に適合するものに限る。)で一定の要件を満たすものの取得(配偶者その他その者と特別の関係がある者からの一定の取得及び贈与による取得を除く。)又は自己の居住の用に供する家屋で一定の要件を満たすものの増改築等(以下「住宅の取得等」という。)をして、これらの家屋又は増改築等に係る部分を平成11年1月1日から令和3年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合(これらの家屋又は増改築等に係る部分を新築若しくは取得の日又は増改築等の日から6か月以内にその者の居住の用に供した場合に限る。)において、その住宅の取得等に係る次に掲げる借入金又は債務(利息に対応するものを除く。以下「住宅借入金等」という。)を有するときは、その居住の用に供した日の属する年(以下「居住年」という。)以後10年間(同日(以下「居住日」という。)の属する年が平成11年若しくは平成12年である場合又は居住日が平成13年1月1日から6月30日までの期間(以下「平成13年前期」という。)内の日である場合には、15年間)の各年以後その年の12月31日まで引き続き居住の用に供している年(以下「適用年」という。)のうち、その年分の合計所得金額が3,000万円以下である年については、その年分の所得税の額から、住宅借入金等特別税額控除額を控除する(措法41①)。

  • ① これらの家屋の建築資金若しくは取得資金又は増改築等の資金に充てるために独立行政法人住宅金融支援機構、地方公共団体又は民間の金融機関等から借り入れた借入金(住宅の取得等とともにする又は住宅の取得等の日以前に取得する一定の家屋の敷地の用に供される土地又は土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)の取得に要する資金に充てるためのこれらの者からの借入金で一定のものを含む。)で、契約上償還期間が10年以上の割賦償還の方法により返済することとされているもの
  • ② 建設業者に対する請負代金又は宅地建物取引業者、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社等に対する取得等(住宅の取得等とともにする又は住宅の取得等の日以前に取得する一定の家屋の敷地の用に供される土地等を含む。)の対価に係る債務で、契約上賦払期間が10年以上の割賦払の方法により支払うこととされているもの
  • ③ 独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社等を当事者とする既存住宅の取得(分譲住宅の取得とともにする分譲住宅の敷地の用に供されていた土地等の取得で一定のものを含む。)の場合に承継される債務で、契約上賦払期間が10年以上の割賦払の方法により支払うこととされているもの
  • ④ これらの家屋の建築資金若しくは取得資金又は増改築等の資金に充てるために給与等又は退職手当等の支払を受ける居住者に係る使用者から借り入れた借入金(住宅の取得等とともにする又は住宅の取得等の日以前に取得する一定の家屋の敷地の用に供される土地等の取得に要する資金に充てるための使用者からの借入金で一定のものを含む。)又はその居住者に係る使用者に対する住宅の取得等(住宅の取得等とともにする又は住宅の取得等の日以前に取得する一定の家屋の敷地の用に供される土地等を含む。)の対価に係る債務で、契約上償還期間又は賦払期間が10年以上の割賦償還又は割賦払の方法により返済し、又は支払うこととされているもの

 ただし、上記の土地等の取得に係る借入金等の金額については、各適用年の12月31日(その者が死亡した日の属する年にあっては、同日)においてその土地等の上に建築された対象住宅の新築又は取得に係る住宅借入金等の金額を有しない場合(すなわち土地等の取得に係る借入金等の金額のみを有する場合)には、住宅借入金等特別控除の適用はない(措法41①、措令26⑲)。

備考

この税額控除は、個人が新築住宅若しくは既存住宅若しくは増改築等をした家屋のその増改築等に係る部分若しくは認定住宅を居住の用に供した日の属する年分、その前年分若しくは前々年分の所得税について、又はその居住の用に供した日の属する年の翌年以後3年以内の各年中に、その新築住宅及び既存住宅並びに増改築等に係る部分並びに認定住宅並びにその敷地以外の従前の居住用財産を譲渡して、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例、居住用財産の譲渡所得の特別控除(措法第35条第3項の規定によりみなして適用する場合を除く。)、特定の居住用財産の買換え及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例又は既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例の適用を受けた場合には適用されない(措法41⑳○21)。

この税額控除の適用を受けるためには、確定申告書に当該控除額の計算の明細書、登記事項証明書等の書類の添付が必要である(措法41○31)。

確定申告書の提出がなかった場合や必要事項の記載等のない確定申告書の提出があった場合でも、税務署長がやむを得ない事情があると認めたときは、その記載等のある書類を提出すればその適用が受けられる(措法41○32)。

合計所得金額とは、純損失の繰越控除及び雑損失の繰越控除を控除する前の総所得金額、申告分離課税を選択した上場株式等に係る配当所得の金額、土地等に係る事業所得等の金額、長期譲渡所得金額、短期譲渡所得金額、一般株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る譲渡所得等の金額、先物取引に係る雑所得等の金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額をいう。

給与所得者については、10年間の控除期間のうち2年目から10年目(居住の用に供した日の属する年分が、平成11年若しくは平成12年である場合、平成13年前期である場合又は平成19年若しくは平成20年で住宅借入金等特別税額控除額の特例(措法41⑥)の適用を受ける場合には、15年間の控除期間のうち、2年目から15年目。また、「特別特定取得」(277頁参照)をした場合における特例(措法41⑬~⑮)又は認定住宅を特別特定取得した場合における特例(措法41⑯⑰)の適用を受ける場合には、13年間の控除期間のうち、2年目から13年目)までの控除は、税務署長の証明書の交付を受けて年末調整でこの税額控除の適用を受けることができる(措法41の2の2)。

東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律における「住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」の特例については「(附)東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律」(1056頁)を、新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律における「住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」の特例については「(附)新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律」(1069頁)を参照。

住宅借入金等特別税額控除額

 住宅借入金等特別税額控除額とは、その年12月31日における住宅借入金等の金額の合計額(その合計額が借入限度額を超える場合には、その借入限度額)に控除率を乗じて計算した金額(100円未満の端数は切捨て)とされる(措法41②)。

 居住年ごとの借入金限度額及び控除率は以下のとおり(措法41③~⑤)。

居住年借入限度額控除率控除期間最大控除額
平成12年~
平成13年前期
5,000万円1~6年目 1.0%
7~11年目 0.75%
12~15年目 0.5%
15年間587.5万円
平成13年後期~
平成16年
5,000万円1~10年目 1.0%10年間500万円
平成17年4,000万円1~8年目 1.0%
9・10年目 0.5%
10年間360万円
平成18年3,000万円1~7年目 1.0%
8~10年目 0.5%
10年間255万円
平成19年2,500万円1~6年目 1.0%
7~10年目 0.5%
10年間200万円
平成20年2,000万円1~6年目 1.0%
7~10年目 0.5%
10年間160万円
平成21年~
平成22年
5,000万円1~10年目 1.0%10年間500万円
平成23年4,000万円1~10年目 1.0%10年間400万円
平成24年3,000万円1~10年目 1.0%10年間300万円
平成25年~
平成26年3月
2,000万円1~10年目 1.0%10年間200万円
平成26年4月~
令和3年12月
4,000万円1~10年目 1.0%10年間400万円

(注) 住宅の取得等をして平成26年4月から令和3年12月までの間に居住の用に供し、かつ、その住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等が新消費税率等(8%又は10%)により課されるべき消費税額等でない場合には、借入限度額2,000万円、控除率1.0%、控除期間10年間とされる。

 なお、適用年において居住年の異なる二以上の住宅の取得等に係る住宅借入金等の金額を有する場合には、上記の計算方法による控除額をそのまま重複して控除することはできない。具体的には、その適用年の12月31日における住宅借入金等の金額につき異なる居住年ごとに区分し、その区分した居住年に係る住宅借入金等の金額ごとに控除額を計算して、その控除額の合計額(その適用年において適用される居住年に係る住宅借入金等に係る控除限度額のうち最も高い金額を限度)とすることとされている(措法41の2)。

住宅借入金等特別税額控除額の特例

 居住者が住宅の取得等をし、かつ、当該住宅の取得等をした居住用家屋若しくは既存住宅又は増改築等をした家屋を平成19年1月1日から平成20年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合において、居住年以後15年間の各年においてその住宅の取得等に係る住宅借入金等を有するときは、その者の選択により、特例適用年における住宅借入金等特別税額控除額は、上記にかかわらず、その年12月31日における特例住宅借入金等の金額の合計額(その合計額が特例借入限度額を超える場合には、その特例借入限度額)に特例控除率を乗じて計算した金額(100円未満の端数は切捨て)とされる(措法41⑥)。

  • (1) 平成19年中に居住の用に供した場合
     特例借入限度額  2,500万円
     特例控除率〔当初10年間〕0.6%
          〔残り5年間〕0.4%
  • (2) 平成20年中に居住の用に供した場合
     特例借入限度額  2,000万円
     特例控除率〔当初10年間〕0.6%
          〔残り5年間〕0.4%

特別特定取得をした場合における特例

 個人が、住宅の取得等で特別特定取得に該当するものをし、かつ、その住宅の取得等をした家屋を令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合には、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額を適用年の11年目から13年目までの各年における住宅借入金等特別税額控除額として、本税額控除の適用ができる(措法41⑬~⑮)。

  • (1) 特別特定住宅借入金等の年末残高(4,000万円を限度)×1%
  • (2) その住宅の取得等で特別特定取得に該当するものに係る対価の額又は費用の額からその住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等相当額を控除した残額(4,000万円を限度)×2%÷3

備考

「特別特定取得」とは、その住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等の税率が10%である場合におけるその住宅の取得等をいう(措法41⑭)。

住宅借入金等特別税額控除の適用対象となる家屋

 この住宅借入金等特別税額控除の適用の対象となる新築住宅又は既存住宅は、1棟の家屋(構造上数個の部分に区分されている場合は、その者の区分所有する部分)の床面積が50㎡以上であるもので、その家屋の床面積の2分の1以上の部分が専ら居住の用に供されるものである。なお、既存住宅については、さらに、耐震基準として、建築基準法施行令の構造強度等の規定又は国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合するもの又は、経過年数基準として、その家屋が建築された日からその取得の日までの期間が非耐火建築物にあっては20年、耐火建築物にあっては25年以下であることについて適合するものに限られる(措令26①②、措規18の21①)。

 また、個人が上記の耐震基準又は経過年数基準に適合しない一定の建築後使用されたことのある家屋(要耐震改修住宅という。以下同じ。)を取得した場合において、その取得の日までに当該要耐震改修住宅の耐震改修(地震に対する安全性の向上を目的とした増築、改築、修繕又は模様替をいう。以下同じ。)を行うことについての一定の申請をし、かつ、当該要耐震改修住宅をその者の居住の用に供する日(取得の日から6月以内の日に限る。)までに当該耐震改修により耐震基準に適合することとなったことについての証明がされたときは、当該要耐震改修住宅は既存住宅とみなし、本特例を適用することができる(措法41○30)。

住宅借入金等特別税額控除の適用対象となる増改築等

 この特例の適用対象となる増改築等は、増築、改築、大規模な修繕若しくは大規模な模様替え、区分所有家屋のうちその者が区分所有する部分の床や壁の室内に面する部分などの過半について行う一定の修繕若しくは模様替え、家屋(区分所有家屋にあっては、その者が区分所有する部分)のうち居室、調理室、浴室等の一室の床若しくは壁の全部について行う修繕若しくは模様替え、家屋について行う建築基準法施行令の構造強度等の規定若しくは国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合させるための修繕若しくは模様替え、家屋について行う国土交通大臣が定める高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造及び設備の基準に適合させるための修繕若しくは模様替え又は家屋について行う国土交通大臣が定めるエネルギーの使用の合理化に著しく資する修繕若しくは模様替え(エネルギーの使用の合理化に相当程度資する修繕若しくは模様替え。)で、次の要件を満たすものでなければならない(措法41⑱措令26○28○29)。

  • ① 工事に要した費用(その工事の費用に関し補助金等の交付を受ける場合には、その工事に要した費用の額からその補助金等の額を控除した金額)が100万円を超えること
  • ② 工事に係る部分のうちに居住の用以外の用に供する部分がある場合には、居住の用に供する部分に係る工事に要した費用が工事に要した費用の額の2分の1以上であること
  • ③ 1棟の家屋(区分所有家屋にあっては、その者が区分所有する部分)の床面積が50㎡以上であるもので、その家屋の床面積の2分の1以上の部分が専ら居住の用に供されるものであること
  • ④ 工事をした家屋が、その者が主として居住の用に供すると認められるものであること

備考

マンション等の一定の修繕若しくは模様替えとは、次のものをいう。

  • イ 床(建築基準法第2条第5号に規定する主要構造部である床及び最下階の床をいう。)の過半について行う修繕又は模様替
  • ロ 主要構造部である階段の過半について行う修繕又は模様替
  • ハ 間仕切壁(主要構造部である間仕切壁及び建築物の構造上重要でない間仕切壁をいう。)の室内に面する部分の過半について行う修繕又は模様替(その間仕切壁の一部について位置の変更を伴うものに限る。)
  • ニ 主要構造部である壁の室内に面する部分の過半について行う修繕又は模様替(当該修繕又は模様替に係る壁の過半について遮音又は熱の損失の防止のための性能を向上させるものに限る。)

国土交通大臣が定める高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造及び設備の基準に適合させるための修繕又は模様替えとは、①廊下の拡幅、②階段の勾配の緩和、③浴室改良、④便所改良、⑤手すりの設置、⑥屋内の段差の解消、⑦引き戸への取替え工事又は⑧床表面の滑り止め化のいずれかに該当する工事であること等の要件を満たす一定のバリアフリー改修工事をいう。

国土交通大臣が定めるエネルギーの使用の合理化に資する修繕又は模様替えとは、①居室の全ての窓の改修工事、又は①の工事と併せて行う②床の断熱工事、③天井の断熱工事若しくは④壁の断熱工事で、次の要件の全てを満たす改修工事その他一定の省エネ改修工事をいう。

  • (1) 改修した部位の省エネ性能がいずれも平成28年基準となること
  • (2) 改修後の住宅全体の省エネ性能が改修前から一段階相当以上上がると認められる工事内容であること(平成21年4月から平成27年12月31日までの間に居住の用に供した場合には不要)

居住者が一定のバリアフリー改修工事、一定の省エネ改修工事、一定の三世代同居対応改修工事又は一定の耐久性向上改修工事につき、下記「既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除」の適用を受ける場合には、その一定のバリアフリー改修工事、一定の省エネ改修工事、一定の三世代同居対応改修工事又は一定の耐久性向上改修工事について、「住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除」及び下記「特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例」を受けることはできない(措法41⑱41の3の2②⑥⑨)。

再び居住の用に供した場合における特別控除の適用

 住宅の取得等をして住宅借入金等特別控除の適用を受けていた個人が、勤務先からの転任の命令に伴う転居その他これに準ずるやむを得ない事由に基因してその家屋をその者の居住の用に供しなくなったことにより当該控除を受けられなくなった後、その家屋を再び居住の用に供した場合には、

  • ① 当該家屋を居住の用に供しなくなる日までに一定の事項を記載した届出書を家屋の所在地を所轄する税務署長に提出すること
  • ② 家屋に再居住したことにより、住宅借入金等特別控除の再適用を受ける最初の年分について、再居住に関する証明書等を添付した確定申告書を提出すること

など一定の要件の下で、その住宅の取得等に係る住宅借入金等特別控除の適用年のうち、再び居住の用に供した年以後の各適用年について、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることができる(措法41○23○24)。

 ただし、再び居住の用に供した年にその家屋を賃貸の用に供していた場合には、その年の翌年以後の各適用年について、住宅借入金等特別控除の再適用を受けることができる(措法41○23)。

 また、住宅の取得等をして自己の居住の用に供した者が、その居住の用に供した日からその年の12月31日までの間に、転任命令等により、その家屋を自己の居住の用に供しなくなった場合であっても、再びその家屋を自己の居住の用に供した場合には、通常の住宅ローン税額控除に係る添付書類のほか当初居住年において自己の居住の用に供していたことを証する書類等一定の書類を添付した確定申告書を納税地の所轄税務署長に提出することにより、その住宅の取得等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除期間内の各年のうち再居住年以後の各適用年(再居住年にその家屋を賃貸の用に供していた場合はその翌年以後の各適用年)について、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用を受けることができる(措法41○26)。

居住用家屋のうちに居住用部分と居住用以外の部分がある場合等の控除額の計算の基礎となる金額

  • (1) 居住用家屋のうちに居住用部分と居住用以外の部分とがある場合(措令26⑥一)
      その借入金等の金額に居住用家屋全体の床面積に対する居住用部分の床面積の割合を乗じて計算した金額
  • (2) 居住用家屋の敷地の用に供する土地等のうちに居住用部分と居住用以外の部分がある場合(措令26⑥二)
      その借入金等の金額に、その土地等全体の面積に対するその居住用の土地等の面積を乗じて計算した金額
  • (3) 増改築等に係る部分のうちに居住用部分と居住用以外の部分がある場合(措令26⑥三)
      その借入金等の金額に、増改築等の費用の総額のうちに占める居住用部分の費用の額の割合を乗じて計算した金額

認定住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除

 個人が、長期優良住宅の普及の促進に関する法律に規定する認定長期優良住宅に該当する家屋で一定のもの若しくは都市の低炭素化の促進に関する法律に規定する認定低炭素住宅に該当する家屋で一定のもの又は同法の規定により低炭素建築物とみなされる特定建築物に該当する家屋で一定のもの(以下「認定住宅」と総称する。)の新築又は建築後使用されたことのない認定住宅の取得(以下「認定住宅の新築等」という。)をして、平成21年6月4日から令和3年12月31日までの間(認定低炭素住宅にあっては、都市の低炭素化の促進に関する法律の施行の日から令和3年12月31日までの間)に自己の居住の用に供した場合(認定住宅の新築等の日から6か月以内に自己の居住の用に供した場合に限る。)において、その者がその認定住宅の新築等のための住宅借入金等(以下「認定住宅借入金等」という。)を有するときは、上記住宅借入金等特別控除額との選択により、その控除期間、認定住宅借入金等の年末残高の限度額及び控除率を次のとおりとする(措法41⑩)。

居住年控除期間住宅借入金等の年末残高控除率
平成21年10年間5,000万円以下の部分1年目から10年目まで 1.2%
平成22年同上5,000万円以下の部分同上
平成23年同上5,000万円以下の部分同上
平成24年同上4,000万円以下の部分1年目から10年目まで 1%
平成25年同上3,000万円以下の部分同上
平成26年
1月~
3月
同上3,000万円以下の部分同上
平成26年
4月~
令和3年
12月
同上5,000万円以下の部分同上

(注) 住宅の取得等をして平成26年4月から令和3年12月までの間に居住の用に供し、かつ、その住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等が新消費税率等(8%又は10%)により課されるべき消費税額等でない場合には、借入限度額3,000万円、控除率1.0%、控除期間10年間とされる。

 上記の「認定住宅」とは、個人がその居住の用に供する家屋で、次に掲げる要件に該当するものをいい、その者がその居住の用に供する家屋を2以上所有する場合には、これらの家屋のうち、その者が主としてその居住の用に供すると認められる1の家屋に限られる(措令26⑳~○22、措規18の21⑫~⑭)。

  • (1) 長期優良住宅
    • ① 家屋の床面積(区分所有建物については、その区分所有部分の床面積)が50㎡以上であること
    • ② 家屋の床面積の2分の1以上が専ら自己の居住の用に供されるものであること
    • ③ 長期優良住宅の普及の促進に関する法律第10条第2号に規定する認定長期優良住宅に該当するものであることにつき一定の証明がされたものであること
  • (2) 低炭素建築物
    • ① 家屋の床面積(区分所有建物については、その区分所有部分の床面積)が50㎡以上であること
    • ② 家屋の床面積の2分の1以上が専ら自己の居住の用に供されるものであること
    • ③ 都市の低炭素化の促進に関する法律第2条第3項に規定する低炭素建築物に該当するものであることにつき一定の証明がされたものであること
  • (3) 特定建築物
    • ① 家屋の床面積(区分所有建物については、その区分所有部分の床面積)が50㎡以上であること
    • ② 家屋の床面積の2分の1以上が専ら自己の居住の用に供されるものであること
    • ③ 都市の低炭素化の促進に関する法律第16条の規定により低炭素建築物とみなされる同法第12条に規定する認定集約都市開発事業(一定の要件を満たすものに限る。)により整備される特定建築物に該当するものであることにつき市町村長等により証明がされたもの

備考

個人が、その認定住宅につき、自己の居住の用に供した日の属する年分又はその翌年分において、下記の「認定住宅の新築等をした場合の所得税額の特別控除」の適用を受ける場合には、その認定住宅の新築等について、居住年以後10年間(その認定住宅の新築等が特別特定取得に該当する場合には、13年間)の各年において、この認定住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の適用を受けることはできない(措法41⑬○22)。

認定住宅借人金等を有する場合の所得税額の特別控除は住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の特例であるので、控除額の計算方法等を除けば、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除がそのまま適用されることになる。したがって、合計所得金額が3,000万円を超える年には控除は受けられない。

左記の「認定長期優良住宅」は、住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律(令和3年法律第48号)附則第1条第4号に掲げる規定の施行の日以後は「認定長期優良住宅(同法第10条第2号イに掲げる住宅に限る。)」となる。

左記③の記述は、住宅の質の向上及び円滑な取引環境の整備のための長期優良住宅の普及の促進に関する法律等の一部を改正する法律(令和3年法律第48号)附則第1条第4号に掲げる規定の施行の日以後は「長期優良住宅の普及の促進に関する法律第11条第1項に規定する認定長期優良住宅(同法第10条第2号イに掲げる住宅に限る。)に該当するものであることにつき一定の証明がされたものであること」となる。

認定住宅を特別特定取得した場合における特例

 個人が、認定住宅の新築等で特別特定取得に該当するものをし、かつ、その認定住宅の新築等をした家屋を令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間にその者の居住の用に供した場合には、次に掲げる金額のうちいずれか少ない金額を適用年の11年目から13年目までの各年における住宅借入金等特別税額控除額として、本税額控除の適用ができる(措法41⑯⑰)。

  • (1) 認定特別特定住宅借入金等の年末残高(5,000万円を限度)×1%
  • (2) その認定住宅の新築等で特別特定取得に該当するものに係る対価の額からその認定住宅の新築等に係る対価の額に含まれる消費税額等相当額を控除した残額(5,000万円を限度)×2%÷3

備考

「特別特定取得」については、277頁参照。

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