税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例

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〈住宅のバリアフリー改修工事に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例〉

 特定個人が、その者の居住の用に供する家屋について、一定のバリアフリー改修工事(その工事費用(補助金等をもって充てる部分を除く。以下「高齢者等居住改修工事等の費用の額」という。)の合計額が50万円を超えるものに限る。)を含む増改築等を行った場合において、その家屋を平成19年4月1日から令和3年12月31日までの間にその者の居住の用に供したときは、その年12月31日における特定増改築等住宅借入金等の金額の合計額(特定増改築等限度額を限度とする。)の2%に相当する金額とその年12月31日における増改築等住宅借入金等の金額の合計額(1,000万円を限度とする。)からその特定増改築等住宅借入金等の金額の合計額を控除した残額の1%に相当する金額との合計額を所得税額から控除することができる(措法41の3の2①)。この特例の、控除期間は5年間、控除率については、次のとおり。

 なお、住宅借入金等特別控除との選択により適用することができる。

居住年特定増改築等限度額控除率
その他の借入限度額
平成19年4月~
平成26年3月
200万円2.0%
800万円1.0%
平成26年4月~
令和3年12月
250万円2.0%
750万円1.0%

(注) 増改築等をして平成26年4月から令和3年12月までの間に居住の用に供し、かつ、その住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等が新消費税率等(8%又は10%)により課されるべき消費税額等でない場合には、特定増改築等限度額200万円(控除率2.0%)、その他の借入限度額(控除額1.0%)とされる。

〈住宅の省エネ改修工事等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例〉

 個人が、その者の居住の用に供する家屋について、エネルギーの使用の合理化に資する一定の改修工事(以下「省エネ改修工事」という。)を含む一定の増改築等(以下「省エネ改修工事等」という。)を行った場合において、その家屋を平成20年4月1日から令和3年12月31日までの間にその者の居住の用に供したときは、一定の要件の下で、その年12月31日における特定断熱改修住宅借入金等の金額の合計額(特定増改築等限度額を限度とする。)の2%に相当する金額とその年12月31日における断熱改修住宅借入金等の金額の合計額(1,000万円を限度とする。)からその特定断熱改修住宅借入金等の金額の合計額を控除した残額の1%に相当する金額との合計額を所得税額から控除することができる(措法41の3の2⑤)。この制度の控除期間は5年、控除率については、次のとおり。

 なお、住宅借入金等特別控除との選択により適用することができる。

居住年特定増改築等限度額控除率
その他の借入限度額
平成19年4月~
平成26年3月
200万円2.0%
800万円1.0%
平成26年4月~
令和3年12月
250万円2.0%
750万円1.0%

(注) 増改築等をして平成26年4月から令和3年12月までの間に居住の用に供し、かつ、その住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等が新消費税率等(8%又は10%)により課されるべき消費税額等でない場合には、特定増改築等限度額200万円(控除率2.0%)、その他の借入限度額(控除額1.0%)とされる。

〈住宅の特定多世帯同居改修工事等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例〉

 個人が、その者の居住の用に供する家屋について、一定の多世帯同居改修工事等をして、その家屋を平成28年4月1日から令和3年12月31日までの間にその者の居住の用に供したときは、一定の要件の下で、その年12月31日における特定多世帯同居改修住宅借入金等の金額の合計額(250万円を限度とする。)の2%に相当する金額とその年12月31日における多世帯同居改修住宅借入金等の金額の合計額(1,000万円を限度とする。)からその特定多世帯同居改修住宅借入金等の金額の合計額を控除した残額の1%に相当する金額との合計額を所得税額から控除することができる(措法41の3の2⑧)。この制度の控除期間は5年、控除率については、次のとおり。

 なお、住宅借入金等特別控除との選択により適用することができる。

居住年特定多世帯同居改修限度額控除率
その他の借入限度額
平成28年4月~
令和3年12月
250万円2.0%
750万円1.0%

備考

「特定個人」とは、次のいずれかに該当する居住者をいう(措法41の3の2①)。

  • ① 年齢が50歳以上の者
  • ② 介護保険法の要介護認定又は要支援認定を受けている者
  • ③ 障害者である者
  • ④ 上記②若しくは③に該当する者又は65歳以上の者である親族と同居を常況とする者

「一定のバリアフリー改修工事」とは、家屋について行う国土交通大臣が定める高齢者等が自立した日常生活を営むのに必要な構造及び設備の基準に適合させるための修繕若しくは模様替えをいう(措法41の3の2②)。

一定のバリアフリー改修工事の範囲については、住宅借入金等特別税額控除の「特例の適用対象となる増改築等」の編(278頁)を参照。

特定増改築等住宅借入金等の金額とは、増改築等住宅借入金等のうち、①一定のバリアフリー改修工事、②特定の省エネ改修工事、③一定の多世帯同居改修工事及び④特定の省エネ改修工事と併せて行う耐久性向上改修工事に要した費用の額の合計額(補助金相当額を除く。)に相当する部分の金額をいう。④の工事の内容については、「既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除の(5)④(289頁)」を参照。

この控除の適用対象となる住宅借入金等とは、償還期間5年以上の一定の住宅借入金等及び死亡一括償還に係る借入金をいう。

「省エネ改修工事」とは、①居室の全ての窓の改修工事、又は①の工事と併せて行う②床の断熱工事、③天井の断熱工事若しくは④壁の断熱工事で、次の要件の全てを満たす改修工事その他一定の省エネ改修工事をいう。

  • イ 改修した部位の省エネ性能がいずれも平成28年基準となること
  • ロ 改修後の住宅全体の省エネ性能が改修前から一段階相当以上上がると認められる工事内容であること(平成21年4月1日から平成27年12月31日までの間に居住の用に供した場合には不要)
  • ハ その工事費用(補助金等を控除した金額)の合計額が50万円を超えるものであること

「特定の省エネ改修工事」とは、上記の省エネ改修工事のうち、改修後の住宅全体の省エネ性能が平成28年基準相当となると認められる工事内容のものをいう。

特定断熱改修住宅借入金等の金額とは、断熱改修住宅借入金等の金額のうち、①特定の省エネ改修工事、②一定の多世帯同居改修工事及び③特定の省エネ改修工事と併せて行う耐久性向上改修工事に要した費用の額の合計額(補助金相当額を除く。)に相当する部分の金額をいう。

この控除の適用対象となる住宅借入金等とは、償還期間5年以上の一定の住宅借入金等をいう。

「一定の多世帯同居改修工事」とは、家屋について行う国土交通大臣が定める他の世帯との同居をするのに必要な設備の数を増加させるための増築、改築、修繕又は模様替えをいい、所有する居住用の家屋について行う、調理室、浴室、便所又は玄関のいずれかを増設する工事で、その工事費用の合計額が50万円を超えるものをいう(改修後には、調理室、浴室、便所又は玄関のうちいずれか2つ以上が複数となるものに限る。)(措法41の3の2②)。

所得金額調整控除

  • ① その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、特別障害者に該当するもの又は年齢23歳未満の扶養親族を有するもの若しくは特別障害者である同一生計配偶者若しくは扶養親族を有するものの総所得金額を計算する場合には、給与等の収入金額(その給与等の収入金額が1,000万円を超える場合には、1,000万円)から850万円を控除した金額の10%に相当する金額を、その年分の給与所得の金額から控除する(措法41の3の3①)。
  • ② 給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額がある居住者で、給与所得控除後の給与等の金額及び公的年金等に係る雑所得の金額の合計額が10万円を超えるものの総所得金額を計算する場合には、給与所得控除後の給与等の金額(給与所得控除後の給与等の金額が10万円を超える場合には、10万円)及び公的年金等に係る雑所得の金額(公的年金等に係る雑所得の金額が10万円を超える場合には、10万円)の合計額から10万円を控除した残額を、その年分の給与所得の金額から控除する(措法41の3の3②)。

備考

令和2年分以後の所得税について適用する。

給与所得控除後の給与等の金額とは、その年の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額をいう(措法41の3の3④五)。

公的年金等に係る雑所得の金額とは、公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額をいう(措法41の3の3④六)。

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