- (1) 各事業年度開始の日前10年以内に開始した各事業年度に生じた欠損金額のうち、震災、風水害、火災、冷害、雪害、落雷、干害、噴火その他の自然現象の異変による災害及び鉱害、火薬類の爆発その他の人為による異常な災害並びに害虫、害獣その他の生物による異常な災害により、棚卸資産、固定資産及び繰延資産(他の者の有する固定資産を利用するために支出されたものに限る。)につき生じたものについては、繰越欠損金の場合と同様に所得の計算上損金に算入する(法58①、令114~116)。
対象となる災害による欠損金は、次の欠損金をいい、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補填されたものは除かれる(令116、基通12-2-1)。 - ① 資産が滅失し、若しくは損壊したこと又は災害による価値の減少に伴いその資産の帳簿価額を損金経理によって減額したことにより生じた損失の額(取壊費用その他の付随費用に係る損失の額を含む。)
- ② 資産が損壊し、又はその価値が減少した場合その他災害によりその資産を事業の用に供することが困難な場合において、その災害等のやんだ日の翌日から1年を経過した日(大規模な災害等のやむを得ない事情がある場合には、3年を経過した日)の前日までにその資産の原状回復のために支出する修繕費、土砂その他の障害物の除去に要する費用その他これらに類する費用(その損壊又は価値の減少を防止するために支出する費用を含む。)に係る損失の額(損金経理したものに限る。)
- ③ 災害により資産につき現に被害が生じ、又はまさに被害が生ずるおそれがあると見込まれる場合において、被害の拡大又は発生を防止するために緊急に必要な措置を講ずるための費用に係る損失の額
- (2) 組織再編成に伴う災害損失金の規定
内国法人を合併法人とする適格合併が行われた場合又は内国法人との間に完全支配関係(その内国法人による完全支配関係又は法人税法第2条第12号の7の6の相互の関係に限る。)がある他の内国法人でその内国法人が発行済株式又は出資を有するものの残余財産が確定した場合において、被合併法人等に未処理災害損失欠損金額があるときは、その適格合併の日前10年以内に開始し、又はその残余財産の確定の日の翌日前10年以内に開始した各事業年度開始の日の属するその内国法人の各事業年度に生じた災害損失欠損金額とみなして合併等事業年度以後の各事業年度において繰越控除する(法58②)。
その損失の生じた事業年度の確定申告書、修正申告書又は更正請求書にその損失の金額に関する明細を記載した書類を添付し、かつ、その後においても連続して確定申告書を提出し、かつ、その損失の生じた事業年度に係る帳簿書類を保存しなければならない(法58⑤)。
青色申告書を提出した事業年度の繰越欠損金又は災害損失金の損金算入は、最も古い事業年度に生じたものから順次控除する(基通12-1-1、12-2-16)。