税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

売買目的有価証券の評価損益

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 売買目的有価証券の期末評価額は、時価法により評価した金額(時価評価金額)とする(法61の3①一)。

1 売買目的有価証券の期末評価額

 売買目的有価証券とは、短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的で取得した有価証券で、次に掲げるものをいう(法61の3①一、令119の12)。

〔売買目的有価証券の範囲〕

  • (1) 短期的な価格の変動を利用して利益を得る目的(短期売買目的)で行う取引に専ら従事する者が短期売買目的でその取得の取引を行ったもの(専担者売買有価証券)
  • (2) 取得日に短期売買目的で取得したものである旨を帳簿書類に記載したもの(専担者売買有価証券を除く。)
  • (3) 金銭の信託(集団投資信託などの信託を除く。)のうち、その契約を締結したことに伴いその信託財産となる金銭を支出した日に、その信託財産として短期売買目的の有価証券を取得する旨を帳簿書類に記載したもののその信託財産に属する有価証券
  • (4) 適格合併、適格分割、適格現物出資又は適格現物分配により移転を受けた有価証券のうち、その移転の直前に被合併法人等において(1)から(3)又は(5)の有価証券とされていたもの
  • (5) 合併、分割型分割、株式分配、株式交換又は株式移転により交付を受けた合併法人等の株式(出資を含む。)で、その交付の基因となった合併等に係る被合併法人等の株式が(1)から(4)の有価証券とされていたもの

備考

帳簿書類への記載は、短期売買目的で取得した有価証券(信託財産として短期売買目的で有価証券を取得する金銭の信託の信託財産に属する有価証券)の勘定科目を他の目的で取得した有価証券の勘定科目と区分することにより行う(規27の5)。

〔売買目的有価証券の時価評価金額〕

 売買目的有価証券の時価評価金額は、事業年度終了時において所有する有価証券を銘柄の異なるごとに区分し、同じ銘柄の有価証券について、次に掲げる有価証券の区分に応じ次に掲げる金額にその有価証券の数を乗じて計算した金額とする(令119の13)。

  • (1) 取引所売買有価証券(その売買が主として金融商品取引所の開設する市場において行われている有価証券)
      金融商品取引所において公表された事業年度終了の日の最終の売買の価格(その終了の日の最終の売買の価格がない場合には、その終了の日の最終の気配相場の価格とし、そのいずれもない場合には、直近の最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格を基礎とした合理的な方法により計算した金額)
  • (2) 店頭売買有価証券(金融商品取引法第2条第8項第10号ハの店頭売買有価証券)及び取扱有価証券(金融商品取引法第67条の18第4号の取扱有価証券)
      金融商品取引法第67条の19の規定により公表された事業年度終了の日の最終の売買の価格(その終了の日の最終の売買の価格がない場合には、その終了の日の最終の気配相場の価格とし、そのいずれもない場合には、直近の最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格を基礎とした合理的な方法により計算した金額)
  • (3) その他価格公表有価証券((1)及び(2)の有価証券以外の有価証券のうち、価格公表者によって公表された売買の価格又は気配相場の価格があるもの)
      価格公表者によって公表された事業年度終了の日の最終の売買の価格(その終了の日の最終の売買の価格がない場合には、その終了の日の最終の気配相場の価格とし、そのいずれもない場合には、直近の最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格を基礎とした合理的な方法により計算した金額)
  • (4) (1)~(3)以外の有価証券(株式又は出資を除く。)
      その有価証券に類似する有価証券について(1)~(3)の公表がされた事業年度終了の日の最終の売買価格又は利率その他の価格に影響を及ぼす指標に基づき合理的な方法により計算した金額
  • (5) (1)~(4)以外の有価証券
      事業年度修了の時の帳簿価額

備考

(1)及び(3)の合理的な方法によって計算した場合には、その方法を採用した理由及びその方法による計算の基礎とした事項を記載した書類を保存しなければならない(令119の13②)。

価格公表者とは、有価証券の売買の価格又は気配相場の価格を継続的に公表し、かつ、その公表する価格がその有価証券の売買の価格に重要な影響を与えている場合におけるその公表する者をいう。

〔期末時の売買目的有価証券の評価損益〕

 事業年度終了の時において売買目的有価証券を有する場合には、その評価益又は評価損は法人税法第25条第1項又は第33条第1項の規定にかかわらず、当該事業年度の益金の額又は損金の額に算入する(法61の3②)。

備考

左記の期末時の売買目的有価証券の評価益又は評価損は翌事業年度の損金の額又は益金の額に算入し、洗替え処理を行う(令119の15)。

〔適格分割等の時の売買目的有価証券の評価損益〕

 適格分割、適格現物出資又は適格現物分配により分割承継法人、被現物出資法人又は被現物分配法人に売買目的有価証券を移転する場合には、その適格分割等の日の前日を事業年度終了の日とした場合のその評価益又は評価損に相当する金額は法人税法第25条第1項又は第33条第1項の規定にかかわらず、その適格分割等の日の属する事業年度の益金の額又は損金の額に算入する(法61の3③)。

備考

左記の適格分割等による移転に係る売買目的有価証券の評価益又は評価損は、分割承継法人等において損金の額又は益金の額に算入し、洗替え処理を行う(令119の15)。

2 売買目的外有価証券の期末評価額

 売買目的外有価証券の期末評価は、原価法(償還期限及び償還金額の定めのある売買目的外有価証券の場合には、事業年度終了の時の帳簿価額と償還金額との差額のうち各事業年度に配分すべき金額を加算し又は減算した金額)により評価した金額とする(法61の3①二、令119の14)。

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