税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

寄附金の損金算入限度額の計算

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〔一般寄附金の損金算入限度額〕

 寄附金の損金算入限度額の計算は、次により行う(法37①、令73①、規22の4)。

(1) 一般寄附金の損金算入限度額

  • 〇資本又は出資を有する法人の場合
    {所得金額×(2.5/100)+期末の資本金等の額×(当期の月数/12)×(2.5/1,000)}×(1/4)
  • 〇資本又は出資のない法人(公益法人等(非営利型法人を除く。)を除く。)の場合
     所得金額×(1.25/100)
  • 〇公益法人等(非営利型法人等を除く。)の場合
    • ① 公益社団法人又は公益財団法人
       所得金額×(50/100)(みなし寄附金額がある場合において、公益法人特別限度額が〔所得金額×(50/100)〕を超えるときは、その公益法人特別限度額相当額)
       (注)
       〔みなし寄附金額〕…収益事業に属する資産のうちから公益目的事業に該当するもののために支出した金額をいう。
       〔公益法人特別限度額〕…当該事業年度の公益社団法人又は公益財団法人の公益目的事業の実施のために必要な一定の金額をいう。
    • ② 私立学校法人(専修学校を設置する準学校法人を含む。)、社会福祉法人、更生保護法人又は社会医療法人
       所得金額×(50/100)〔その金額が年200万円に満たない場合は年200万円〕
    • ③ ①及び②以外の法人
       所得金額×(20/100)

公益の増進に著しく寄与する法人に対する寄附金がある場合

(2) 公益の増進に著しく寄与する法人に対する寄附金がある場合の特例

 公益の増進に著しく寄与する法人に対する寄附金がある場合には、その損金算入限度額は一般寄附金と合わせて、次の算式により計算した金額に増額される(公益法人等が支出した場合を除く。)(法37④、令77の2)。

 (一般の寄附金の損金算入限度額+特別損金算入限度額(注)と公益の増進に著しく寄与する法人に対する寄附金の額とのいずれか低い方の金額)

 (注) 特別損金算入限度額

  • (イ) 資本又は出資を有する法人の場合
     {所得金額×(6.25/100)+期末の資本金等の額×(当期の月数/12)×(3.75/1000)}×(1/2)
  • (ロ) 資本又は出資のない法人
     所得金額×(6.25/100)

備考

「所得金額」は、法人税申告書別表四の「仮計」の金額に、その事業年度に支出した寄附金の全額を加えた金額である(令73③)。

許可地縁団体、管理組合法人及び団地管理組合法人、法人である政党等、防災街区整備事業組合並びにマンション建替組合、マンション敷地売却組合、敷地分割組合等は、それぞれの法律の規定により公益法人等とみなされているが、その限度額は、所得金額の1.25/100である。

公益の増進に著しく寄与する法人に対する寄附金の損金算入の特例については、その寄附金がその法人の主たる目的である業務に関連するもの(出資に関連する業務に充てられることが明らかなものは除く。)であることを要件とするが、それに該当するかどうかは、その法人の募金趣意書、事業計画書、募金計画書の写し等を総合勘案して判定することになる(法37④、基通9-4-7)。

その寄附金が主たる業務に関連するものである旨の書類を保存しておく必要がある(法37⑨、規24)。

公益の増進に著しく寄与する法人に対する寄附金の範囲

 公益の増進に著しく寄与する法人に対する寄附金とは、次に掲げる法人(特定公益増進法人と呼称されている。)に対する寄附金をいう(令77)。

  • ① 独立行政法人
  • ② 地方独立行政法人で試験研究、病院事業の経営、社会福祉事業の経営、申請等関係事務の処理又は介護老人保健施設、介護医療院、博物館、美術館、植物園、動物園若しくは水族館の設置及び管理の業務を主たる目的とするもの
  • ③ 自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団及び日本赤十字社
  • ④ 公益社団法人及び公益財団法人
  • ⑤ 学校法人で、学校又は幼保連携型認定こども園の設置を主たる目的とするもの
  • ⑥ 社会福祉法人
  • ⑦ 更生保護法人

認定特定公益信託のための支出

 認定特定公益信託(特定公益信託のうち、科学技術(自然科学に係るものに限る。)に関する試験研究等に対する助成を目的とし、その目的に関し相当と認められる業績が持続できることにつき主務大臣の認定を受けたものをいう。)の信託財産とするために支出した金銭の額は公益の増進に著しく寄与する法人に対する寄附金の額とみなされる(法37⑥、令77の4③)。

備考

特定公益信託とは、信託の終了(信託の併合による終了を除く。)時に信託財産が委託者に帰属しないこと等の要件を満たすことが証明された公益信託をいい、その信託財産とするために支出した金銭の額は、寄附金の額(左記以外は、一般寄附金の額)とみなされる(法37⑥、令77の4①)。

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