税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

損金経理した償却費の額

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 各事業年度の所得の計算上損金に算入される減価償却額は、償却費として損金経理をした金額(損金経理額)のうちその資産の償却限度額以内の金額に限られ、自らが償却を行わない限り、損金に算入される減価償却額はないことになる(法31①)。

 損金経理額は、その償却額を直接減額すると引当金経理するとを問わないが、次のように経理した場合にも損金経理したものとして取り扱われる(基通7-5-1)。

  • (1) 減価償却資産の取得に伴う付随費用等を取得価額に算入しなかった場合の付随費用等の額
  • (2) 圧縮限度額を超えて経理した場合のその限度額を超える金額
  • (3) 修繕費として経理した金額で損金の額に算入されなかった金額
  • (4) 無償又は低廉取得した資産につき取得価額として経理した金額が令第54条第1項の規定による取得価額に満たない場合のその満たない金額
  • (5) 除却損又は評価損のうち損金の額に算入されなかった金額
     (注) 評価損の金額には、法人が計上した減損損失の金額も含まれる。
  • (6) 少額な減価償却資産(おおむね60万円以下)又は耐用年数が3年以下の減価償却資産の取得価額を消耗品費等とした場合のその金額
  • (7) 令第54条第1項の規定によりソフトウエアの取得価額に算入すべき金額を研究開発費として損金経理をした場合のその損金経理をした金額

 適格組織再編成により移転を受けた減価償却資産に係る損金経理額には、被合併法人等の損金経理額のうち損金の額に算入されなかった金額が含まれる(法31④)。

 また、次に掲げる場合において、それぞれその満たない部分の金額は、損金経理額とみなされる(法31⑤、令61の4)。

  • (1) 適格組織再編成により移転を受けた減価償却資産(被合併法人等が公益法人等である場合の収益事業以外の事業に属していたものを除く。)について会計帳簿に記載した金額が、被合併法人等がその適格組織再編成の直前に会計帳簿に記載していた金額に満たない場合
  • (2) 非適格合併等により移転を受けた減価償却資産について会計帳簿に記載した金額が、非適格合併等の直後における償却限度額の計算の基礎となる取得価額に満たない場合
  • (3) 民事再生等評価換えによりその帳簿価額が増額された減価償却資産について、その直前の価額として会計帳簿に記載した金額が、民事再生等評価換えにおける評定額等に満たない場合
  • (4) 連結納税の開始等に伴う連結時価評価によりその帳簿価額が増額された減価償却資産について、時価評価年度終了時の価額として会計帳簿に記載した金額が、その連結時価評価の直後の帳簿価額に満たない場合
  • (5) 非適格株式交換等時価評価によりその帳簿価額が増額された減価償却資産について、その直前の価額として会計帳簿に記載した金額が、その非適格株式交換等の直後の帳簿価額に満たない場合

備考

取得価額の全部又は一部を資産に計上しなかった場合(損金経理により償却費の計上をしたものとされる場合を除く。)又は贈与により取得した減価償却資産を資産に計上しなかった場合(左の(6)を除く。…この場合は損金経理したものと取り扱われる。)でも、その資産を事業の用に供した事業年度の申告書に記載(別表十六)してそれについて申告調整をしているときは、申告書に記載した金額に限り償却費として損金経理したものとして取り扱われる(基通7-5-2)。

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