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昭和45年4月1日から令和5年3月31日までの間に次に該当する特定の資産(棚卸資産を除く。)を譲渡し、その譲渡をした事業年度においてそれぞれその譲渡資産に対応する買換資産を取得し、その取得した日から1年以内に一定の地域内にあるその法人の事業の用(船舶については、その法人の事業の用)に供したとき又は供する見込みのときは、その買換資産について、4により計算した圧縮限度額の範囲内でその帳簿価額を減額して損金算入する経理(圧縮記帳)が認められる(措法65の7①)。
備考
左の譲渡資産又は買換資産には、それぞれ、信託の信託事業用資産又は信託買換資産を含み、信託事業用資産の譲渡又は信託買換資産の取得には、信託受益権の譲渡又は取得によるものを含む。
圧縮記帳に代えて特定目的の積立金経理によることができる(措法65の7①)。
(1)については、譲渡資産は事業所用の建物又はその敷地の用に供される土地等で所有期間が10年を超えるものに限られる。
1 特定資産の範囲
この特例の認められる買換えとは次の買換えをいうが、具体的には措法第65条の7に表として掲げられている。
2 買換えの特例が認められない場合
〔所有期間等による制限〕
次の場合には、買換えの特例は、認められない。
備考
なお、平成10年1月1日から令和5年3月31日までの間に譲渡した土地については短期所有土地に係る追加課税制度は、適用されないため、本特例の適用も制限されない。
清算中の法人は、特例の適用がない(措法65の7①)。
原則として、確定申告書等に課税の特例に関する事項の記載をし、かつ、特例に関する明細書その他必要な証明書類を添付しなければならない(措法65の7⑤⑥)。
資産を延払条件付で譲渡した場合において、特定資産の買換えの課税特例の適用を受けるときはその譲渡利益について利益の繰延べはできない(措通65の7(1)-5)。
〔譲渡の種類による制限〕
〔面積による制限〕
3 買換えの特例が認められる場合
次の場合には、買換えの特例が適用になる。
備考
買換資産について特例を適用した場合には、特別償却及び割増償却並びに中小企業者等が機械等を取得した場合の税額控除等の特別税額控除の適用がない(措法65の7⑦)。
〔先行取得の場合の特例〕
4 圧縮できる譲渡差益の額
圧縮限度額=買換資産の取得価額と譲渡資産の譲渡価額とのいずれか少ない金額×差益割合×圧縮割合
差益割合={〔譲渡資産の譲渡価額-(譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額+譲渡に要した経費)〕/譲渡資産の譲渡価額}
圧縮割合=80%
この結果、圧縮記帳をした買換資産の帳簿価額は、次のようになる。
買換資産の取得価額-圧縮限度額の範囲内で圧縮記帳した金額
買換資産が減価償却資産であり、かつ、その取得が先行取得であるときは、取得後前期末までの減価償却相当分を調整するため、上記の損金経理金額は、次の算式による(措令39の7⑳)。
圧縮限度額=買換資産の取得価額と譲渡資産の譲渡価額とのいずれか少ない金額×(買換資産の前期末の帳簿価額/買換資産の前期末の取得価額)
×差益割合×圧縮割合
備考
差益割合の計算は、同じ事業年度中に二以上の特定資産を譲渡している場合にもプール計算を行わず、譲渡資産ごとに差益割合を計算するのであるが(措法65の7⑯四)、土地とその土地上の建物又は構築物を一括譲渡した場合等には、差益割合の一括計算が認められる(措通65の7(3)-1)。
上記1(2)について、譲渡資産が次の区域内にある資産に該当し、かつ、買換資産が航空機騒音障害区域以外の地域内にある資産に該当する場合の圧縮割合は、70%とされる。
上記1(4)について、地域再生法の集中地域以外の地域内にある資産を譲渡し、かつ、集中地域内にある資産を取得した場合の圧縮割合は、75%(一定の集中地域内にある資産を取得した場合には、70%)とされる(措法65の7⑭)。
5 特別勘定による経理
法人が、特定の資産の譲渡をした場合において、その買換資産をその譲渡の日を含む事業年度中に取得せず、その事業年度の翌事業年度開始の日から1年以内に買換資産を取得し、その取得した日から1年以内に事業の用に供する見込みであるときは、次の算式によって計算した金額以下の金額を特別勘定として経理することにより、その金額を譲渡の日を含む事業年度の損金に算入できる(措法65の8①⑦)。
特別勘定繰入額=譲渡代価のうち買換資産の取得に充てようとする金額×差益割合×圧縮割合
なお、収用又は換地処分による譲渡等一定の譲渡及び買換土地等が一定の広さ以上のものには、この特例の適用がない(措法65の7⑯、65の8⑬)(
備考
取得指定期間は、工場、事務所その他の建物、構築物又は機械及び装置の敷地の用に供するための宅地の造成並びにその工場等の建設及び移転に要する期間が1年を超えると認められる特別の事情があるときは、譲渡の日を含む事業年度の翌事業年度開始の日から3年以内で税務署長が認定した日までとなる(措法65の8①)。
6 買換資産を取得した場合
特別勘定を設けている場合において、買換資産を所定の期間内に取得したときは、買換資産について「譲渡資産の譲渡対価のうち買換資産の取得に充てた金額に差益割合を乗じた金額の圧縮割合に相当する金額」の範囲内で損金算入(圧縮記帳)ができるが、特別勘定として経理した金額のうち「買換資産の取得に充てた金額に差益割合を乗じて計算した金額の圧縮割合に相当する金額」を買換資産の取得をした事業年度の益金に算入しなければならない(措法65の8⑦⑨、措令39の7○37)。
特別勘定を設けている法人が、買換資産を特定資産の譲渡の日を含む事業年度終了の日の翌日から1年以内(税務署長の承認を受けている場合には、その承認を受けた日)に取得しなかった場合には、その特別勘定を取り崩して益金に算入しなければならない(措法65の8⑫)。
備考
特別勘定は、左のほか次の場合に益金に算入する(措法65の8⑫)。
7 非適格株式交換等を行った場合の特別勘定の益金算入
特定の資産の譲渡に伴い特別勘定を設けている法人が、自己を株式交換等完全子法人又は株式移転完全子法人とする非適格株式交換等を行った場合に、その直前における特別勘定の金額は、益金の額に算入する(措法65の8⑪)。ただし、特別勘定の金額が1,000万円未満である場合には、この措置は適用されない(措法65の8⑪、措令39の7○40)。
8 買換資産を事業の用に供さない場合等の課税
買換資産を圧縮記帳した場合において、その買換資産を取得後1年以内に法人の事業の用に供さない場合又は供さなくなった場合には、その取得後1年を経過する日(その前日までに事業の用に供さなくなった場合には、その供さなくなった日)を含む事業年度に、その圧縮額を益金に算入する(措法65の7④、65の8⑭)。