税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

収用換地等の場合の所得の特別控除

この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。

税務研究会お試し

1 換地処分及び権利変換による譲渡以外の譲渡の場合

 所有する資産が土地収用法等の規定により収用されたとき、又は買取り申出を拒めば収用されることとなる場合において買い取られたときで、その収用等が次の全ての要件に該当しているときは、その資産の譲渡益(補償金額から譲渡直前の帳簿価額及び譲渡経費の額の合計額を控除した金額)のうち年5,000万円までの金額を損金算入することができる(措法65の2①③、措令39の3)。

  • (1) その事業年度のうち同一の年に属する期間中に、収用等に係る資産(次の2に該当するものを除く。)のいずれについても圧縮記帳等による課税の特例を受けないこと
  • (2) 収用換地等により取得した補償金等の額又は交換取得資産の価額(譲渡資産の価額を超える場合で差額を支出しているときは、その額を差し引いた価額)が、譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額と譲渡に要した経費の合計額を超えること
  • (3) 公共事業施行者からの買取り等の申出があった日から6月以内に譲渡すること
  • (4) 一の収用換地等に係る事業につき、収用換地等による譲渡が二以上あった場合において、これらの譲渡が二以上の年にわたってされたときは、最初に譲渡があった年において譲渡された資産に限ること
  • (5) 最初に買取り等の申出を受けた者に譲渡したものに限ること

備考

原則として、確定申告書等に損金に算入される金額の記載及びその計算に関する明細書の添付があり、かつ、土地収用証明書等必要な証明書類を保存しなければならない(措法65の2④⑤、措規22の3②)。

損金算入された金額は、利益積立金額及び特定同族会社の留保所得の計算上は所得金額に含まれる(措法65の2⑨、措令39の3⑦)。

土地等が公共事業の用に供するため収用等される場合において、その土地の上に存する建物等を取り壊すこととなる場合も左の課税の特例の適用がある。

 二以上の収用換地等があった場合の特別控除額の特例

 収用換地処分による5,000万円の特別控除は、各暦年ごとに適用を受けることができる。したがって、二以上の公共事業のためそれぞれ異なる年(同一事業年度内に限る。)に収用等があった場合には、各年に特別控除を受けることができる場合がある。

 同一年中に資産の譲渡による特別控除の特例(収用換地等の場合、土地区画整理事業のための譲渡の場合、特定住宅地造成事業等のための譲渡の場合、農地保有合理化のための譲渡の場合の特別控除の特例、特定の長期所有土地等の所得の特別控除)を二以上受ける場合の特別控除額は、すべてを通じて年5,000万円とされる(措法65の6)。

2 換地処分又は権利変換による譲渡の場合

 所有する土地等について土地区画整理事業、土地改良事業等が施行された場合において、換地処分により土地等とともに補償金等を取得するとき、所有する資産について第一種市街地再開発事業が施行された場合において、権利変換により施設建築物の一部等とともに補償金等を取得するとき、若しくは第二種市街地再開発事業が施行された場合において、建築施設の部分の給付を受ける権利とともに補償金等を取得するとき、又は所有する資産について防災街区整備事業が施行された場合において、権利変換により防災施設建築物の一部等とともに補償金等を取得するときは、その換地処分等が次の全ての要件に該当しているときに限り、次により計算した譲渡益のうち年5,000万円までの金額を損金算入することができる(措法65の2②)。

 譲渡益=補償金等の額-〔譲渡直前の帳簿価額のうち補償金等対応分+譲渡経費のうち補償金等対応分〕

  • (1) その事業年度のうち同一の年に属する期間中に、収用等に係る資産のいずれについても圧縮記帳等による課税の特例を受けないこと
  • (2) 換地処分等により資産とともに取得した補償金等の額が、その換地処分等により譲渡した資産の譲渡直前の帳簿価額と譲渡に要した経費の合計額のうち補償金対応分を超えること
  • (3) 1の(3)から(5)までに同じ

備考

原則として、確定申告書等に損金に算入される金額の記載及びその計算に関する明細書の添付があり、かつ、土地収用証明書等必要な証明書類を保存しなければならない(措法65の2④⑤)。

補償金等対応分は(取得した補償金等の額)と(取得した土地等+取得した補償金等の額)との割合を乗じて算出する(措令39の3③④)。

  • 税務通信

     

    経営財務