1 金銭債権を切り捨てた場合
金銭債権が回収不能であるかどうかは、債務者の支払能力等の実情により判定するが、次の事実に該当する場合は金銭債権が法律的に消滅するから、法人の損金経理の有無にかかわらず、その切り捨てられることとなった金額は、損金の額に算入される(基通9-6-1)。
備考
債権法人が更生会社等に対して有する債権で指定された期限までに裁判所に届け出なかったため、更生計画に係る更生債権とされなかったものについては、更生計画認可の決定のあった日において貸倒れとすることができる(基通14-3-7)。
保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にできない(基通9-6-2(注))。
対象となる売掛債権は売掛金、未収加工料、未収請負金、未収運賃、未収保管料等の本来の営業上の債権をいい、営業外の貸付金その他これに準ずる債権を含まない(基通9-6-3カッコ書)。
貸倒れ経理した売掛債権について、その後弁済を受けることを約しても実際に弁済があるまでは益金の額に算入することを要しない。
2 金銭債権が回収不能の場合
金銭債権について、その債務者の資産状況、支払能力等からその全額の回収ができないことが明らかになった場合には、貸倒れとして損金経理することができる。
この場合、金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ、貸倒れとして損金経理することはできない(基通9-6-2)。
3 一定期間取引停止後弁済がない場合
金銭債権のうち、売掛債権について、その債務者に次のような事実が発生した場合には、売掛債権から備忘価額を控除した残額につき、法人の損金経理を前提に貸倒れが認められる(基通9-6-3)。