税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

貸倒れの認定

この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。

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1 金銭債権を切り捨てた場合

 金銭債権が回収不能であるかどうかは、債務者の支払能力等の実情により判定するが、次の事実に該当する場合は金銭債権が法律的に消滅するから、法人の損金経理の有無にかかわらず、その切り捨てられることとなった金額は、損金の額に算入される(基通9-6-1)。

  • (1) 更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定があった場合
  • (2) 特別清算に係る協定の認可の決定があった場合
  • (3) 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で、次に掲げる場合
    • ① 債権者集会の協議決定で、合理的な基準により債務者の負債整理を定めているものである場合
    • ② 行政機関又は金融機関その他の第三者のあっせんによる当事者間の協議により締結された契約でその内容が合理的な基準により債務者の負債整理を定めているものである場合
  • (4) 債務者の債務超過の状態が相当期間継続し、その金銭債権の弁済が受けられないと認められる場合において、その債務者に対し書面により債務免除額を明示した場合

備考

債権法人が更生会社等に対して有する債権で指定された期限までに裁判所に届け出なかったため、更生計画に係る更生債権とされなかったものについては、更生計画認可の決定のあった日において貸倒れとすることができる(基通14-3-7)。

保証債務は、現実にこれを履行した後でなければ貸倒れの対象にできない(基通9-6-2(注))。

対象となる売掛債権は売掛金、未収加工料、未収請負金、未収運賃、未収保管料等の本来の営業上の債権をいい、営業外の貸付金その他これに準ずる債権を含まない(基通9-6-3カッコ書)。

貸倒れ経理した売掛債権について、その後弁済を受けることを約しても実際に弁済があるまでは益金の額に算入することを要しない。

2 金銭債権が回収不能の場合

 金銭債権について、その債務者の資産状況、支払能力等からその全額の回収ができないことが明らかになった場合には、貸倒れとして損金経理することができる。

 この場合、金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ、貸倒れとして損金経理することはできない(基通9-6-2)。

3 一定期間取引停止後弁済がない場合

 金銭債権のうち、売掛債権について、その債務者に次のような事実が発生した場合には、売掛債権から備忘価額を控除した残額につき、法人の損金経理を前提に貸倒れが認められる(基通9-6-3)。

  • (1) 債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が取引停止時以後である場合は、これらのうち最も遅い時)以後1年以上を経過した場合(担保物のある場合を除く。)
  • (2) 同一地域の債務者について有する売掛債権の総額が、その取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合で、支払を督促しても弁済がない場合
     (注) (1)の取引の停止は、継続的な取引を行っていた債務者につきその資産状況、支払能力等が悪化したためその後の取引を停止するに至った場合をいうのであるから、例えば不動産取引のようにたまたま取引を行った債務者に対して有する売掛債権については、この取扱いの適用はない。

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