この解説は最終更新日から1年以上経過しており、現行法令に準拠していない可能性があります。
青色申告法人が確定申告書を提出する事業年度において欠損が生じた場合には、その事業年度開始の日前1年以内に開始した事業年度の所得に対する法人税額のうち欠損金額に対応する税額の還付請求ができる(法80①)。
法人の災害が発生した日(以下「発災日」という。)から1年を経過する日までの間に終了する各事業年度又は発災日から6月を経過する日までの間に終了する中間期間において生じた災害損失欠損金額(欠損金額のうち、その災害により棚卸資産等について生じた損失の額で一定のものに達するまでの金額)がある場合には、その事業年度に係る確定申告書(期限後申告書を含む。)又はその中間期間に係る仮決算の中間申告書の提出と同時に、その災害損失欠損金額に係る事業年度又は中間期間開始の日前1年(青色申告書を提出する場合には2年)以内に開始した事業年度の法人税額のうちその災害損失欠損金額に対応する税額の還付請求ができる(法80⑤)。
(注) 次に掲げる法人以外の法人の平成4年4月1日から令和4年3月31日までの間に終了する事業年度において生じた欠損金額については、欠損金の繰戻しによる還付は受けられない(措法66の12)。
ただし、この期間内に終了する事業年度であっても、次に掲げる事実が生じた日前1年以内に終了した事業年度又は同日の属する事業年度の欠損金額で一定のもの及び災害損失欠損金額については、欠損金の繰戻しによる還付を受けることができる(法80④⑤、措法66の12①)。
この欠損金の還付請求は、その欠損の生じた事業年度の確定申告書の提出期限までに確定申告書の提出と同時に提出(中間期間において生じた災害損失欠損金額の繰戻しによる還付請求書の提出をする場合には、その中間期間に係る仮決算の中間申告書の提出と同時に提出)しなければならない(法80①③⑤)。
内国法人につき解散(適格合併による解散を除く。)、事業の全部の譲渡、更生手続の開始、事業の全部の相当期間の休止等又は再生手続開始の決定が生じた場合には、その事実の生じた日前1年以内に終了したいずれかの事業年度又はその日を含む事業年度の欠損金額について、その事実が生じた日から1年以内に、欠損金繰戻しによる法人税額の還付を請求することができる(法80④)。
還付される法人税額は次のとおり。
所得のあった事業年度の法人税額×(欠損事業年度の欠損金額/所得のあった事業年度の所得金額)=還付税額
(注) 所得のあった事業年度の法人税額はその附帯税を除き、所得税額等の税額控除(措置法の規定による税額控除を除く。)をした金額があるときは、その控除額を加算し、措法第62条の3(土地の譲渡等がある場合の特別税率)等により加算された金額があるときは、その金額を控除した金額をいう(措令38の4○45)。
備考
還付所得事業年度に申告書を提出し、その後も継続して申告書を提出していることが必要である(法80③⑤)。
繰戻し還付の請求をしない場合には、その欠損金額は翌期以後に繰り越す(法57)。
確定申告書を期限内に提出し、その申告書に記載された欠損金額に基づいて法人税の還付請求書を期限後に提出した場合において、その期限後の提出が錯誤に基づくものである等期限後の提出について税務署長が真にやむを得ない理由があると認めたときは、欠損金の繰戻しによる還付が受けられる(基通17-2-3)。
欠損金の繰戻しによる還付請求があった場合において、その還付請求について還付すべき金額は、その金額の算定を行う時において確定している還付所得事業年度の所得金額及び法人税の額並びに欠損事業年度の欠損金額(欠損金額が請求に係る還付金額の計算の基礎として還付請求書に記載した欠損金額を超える場合には、その記載した金額を基礎として計算した金額)による(基通17-2-2)。
令和2年2月1日から令和4年1月31日までの間に終了する事業年度については、資本金の額又は出資金の額が10億円以下の法人も欠損金の繰戻しによる還付を受けることができる(新型コロナウイルス感染症等の影響に対応するための国税関係法律の臨時特例に関する法律7)。
更生手続の開始とは、会社更生法等の規定による更生手続開始の申立て(更生手続開始の申立てを棄却する決定があった場合のその申立てを除く。)があったことをいう(基通17-2-5)。