課税売上割合は、次の算式で計算される(令48)。
課税売上割合=その課税期間中に国内で行われた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。)の対価の合計額〔売上げに係る対価の返還等の金額を控除した金額〕/その課税期間中に国内で行われた資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。)の対価の合計額〔売上げに係る対価の返還等の金額を控除した金額〕
(注) 分母、分子いずれも税抜きの金額である。
- 1 分母である資産の譲渡等について
課税売上割合の分母は、国内で事業として対価を得て行われる資産の譲渡等の対価の額から売上げに係る対価の返還等の金額を控除した金額となるが、留意すべき点は次のとおりである。 - ① 通貨、小切手等の支払手段の譲渡については、本来、消費税の課税対象とすべきではないことから、課税売上割合の算定上、分母の額に含めない。
- ② 資産の譲渡等の対価として取得した金銭債権の譲渡については、売上げの二重課税を排除するため、課税売上割合の算定上、分母の額に含めない。
- ③ 現先取引債券等(国債等、外国法人が発行する譲渡性預金証書、コマーシャル・ペーパー等をいう。)をあらかじめ約定した期日(その約定の日以後その期日を定めることができることとされているものにあっては、その定められる期日)にあらかじめ約定した価格で買い戻すことを約して譲渡し、かつ、その約定に基づき買い戻す場合(売現先)については、債券を担保とする資金の借入れと同質と認められることから、その譲渡対価を分母の額に含めないこととし、現先取引債券等をあらかじめ約定した期日(その約定の日以後その期日を定めることができることとされているものにあっては、その定められる期日)にあらかじめ約定した価格又はあらかじめ約定した計算方法により算出される価格で売り戻すことを約して購入し、かつ、その約定に基づいて売り戻した場合(買現先)には、貸付金利子と類似していることから、売戻しに係る対価の額から購入に係る対価の額を控除した金額(利子相当額)を分母に計上する。
- ④ 資金の貸付けや預金については、課税売上割合の算定上、貸付金利子や預金利子を分母に計上する。また、有価証券(譲渡性預金証書、コマーシャル・ペーパーを含む。)の条件付売買(現先取引)については、貸付金利子と類似していることから、金利相当額を分母に計上する。
- ⑤ 現先取引以外の有価証券の譲渡については、その譲渡の対価の額の5%相当額を分母に計上する。
- ⑥ 無償譲渡をしたことにより、課税されていないものがある場合には、法人税法上は、収益に計上すべきものであっても、消費税においては総売上高には計上する必要はない。
- ⑦ 配当収入には課税されないが、これは資産の譲渡等に当たらないからであり、分母に含める必要はない。
- 2 分子である課税資産の譲渡等について
課税売上割合の分子は、課税資産の譲渡等の対価の額から課税資産の譲渡等に係る対価の返還等をした金額を控除した金額となるが、留意すべき点は次の通りである。 - ① 非課税資産の譲渡でも輸出取引等に該当するものは、分子に含めることになる。
- ② 無償譲渡をしたことにより、課税されないものがある場合には、法人税法上は、収益に計上すべきものであっても、消費税においては、分子の課税資産の譲渡等には、計上することができない。
課税売上割合の計算は、事業所単位又は事業部単位等で行うことはできない(基通11-5-1)。
「資産の譲渡等の対価の額」及び「課税資産の譲渡等の対価の額」とは、いずれも国内において行う取引に係る資産の譲渡等の対価の額をいい、したがって、いわゆる輸出取引に係る対価の額は含まれるが、国外において行う取引に係る対価の額は含まれない(基通11-5-4)。
左のようなものは、2の②のように、分子の金額にも含まれないが、課税売上割合を乗ずる場合の被乗数となる「課税仕入れ等の税額」には、無償譲渡した資産の取得の際の課税仕入れ等に係る税額も含まれる。
輸出取引に係る対価の返還等があった場合の計算方法
課税資産の輸出取引に係る対価の返還等を行った場合には、当該対価の返還等の金額は、課税売上割合の計算上、資産の譲渡等の対価の額の合計額及び課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から控除する(基通11-5-5)。
課税売上割合に準ずる割合
課税売上割合に準ずる割合は、使用人の数又は従事日数の割合、消費又は使用する資産の価額、使用数量、使用面積の割合その他課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものの性質に応ずる合理的な基準により算出する(基通11-5-7)。
課税売上割合に準ずる割合の適用範囲
課税売上割合に準ずる割合を適用する場合には、その事業者が行う全部について同一の割合を適用する必要はなく、例えば次の方法によることもできる(基通11-5-8)。
- (1) その事業者の営む事業の種類の異なるごとにそれぞれ異なる課税売上割合に準ずる割合を適用する方法
- (2) その事業者の事業に係る販売費、一般管理費その他の費用の種類の異なるごとにそれぞれ異なる課税売上割合に準ずる割合を適用する方法
- (3) その事業者の事業に係る事業場の単位ごとにそれぞれ異なる課税売上割合に準ずる割合を適用する方法
課税売上割合に準ずる割合を用いようとする事業者は、その用いようとする課税期間の末日までに所轄税務署長に対し、「消費税課税売上割合に準ずる割合の適用承認申請書」を提出し、その承認を得なければならない(法30③)。
課税売上割合に準ずる割合の適用をやめようとする事業者は、そのやめようとする課税期間の末日までに「消費税課税売上割合に準ずる割合の不適用届出書」を所轄税務署長に提出しなければならない(法30③)。