税務用語辞典


  • 令和3年度 税制改正対応版※令和3年4月1日現在の法令等によっています。

小規模事業者の納税義務の免除

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 基準期間における課税売上高が1,000万円以下である事業者は、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについて、消費税を納める義務が免除される(法9①)。なお、国又は地方公共団体の一般会計については、この特例は適用されない(法60⑦)。

 基準期間とは、個人事業者についてはその年の前々年をいい、法人についてはその事業年度の前々事業年度(その前々事業年度が1年未満である法人については、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過する日までの間に開始した各事業年度を合わせた期間)をいう(法2①十四)。

 課税期間の基準期間における課税売上高が、1,000万円を超えることとなった事業者及び課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下となった課税選択事業者以外の事業者は、その旨を所轄税務署長に届け出なければならない(法57一、二)。

備考

その課税期間における課税売上高が1,000万円以下の場合であっても、その基準期間における課税売上高が1,000万円を超えているときは、その課税期間については消費税の納税義務は免除されない(基通1-4-1)。

新たに開業した個人事業者又は新たに設立された法人のようにその課税期間について基準期間における課税売上高がない場合又は基準期間がない場合には、納税義務が免除される。(資本金の額が1,000万円以上の新設法人は、基準期間のない事業年度でも、納税義務が免除されない(法12の2)。)なお、個人事業者のいわゆる法人成りにより新たに設立された法人であっても、その個人事業者の基準期間における課税売上高は、その法人の基準期間における課税売上高とはならない(基通1-4-6)。

(基準期間における課税売上高)

 基準期間における課税売上高とは、具体的には次の金額をいう(法9②)。

  • ① 個人事業者及び基準期間が1年である法人
      基準期間中の課税資産の譲渡等の対価の合計額-基準期間中の売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額
     (注) 基準期間中の課税資産の譲渡等には、消費税が免除される場合及び法第4条第5項(資産のみなし譲渡)の規定により資産の譲渡とみなされる場合の課税資産の譲渡等に係る対価の額を含み、法第31条(非課税資産の輸出等を行った場合の仕入れに係る消費税額の控除の特例)の規定により資産の譲渡とみなされる場合の課税資産の譲渡は除かれる。なお、貸倒れがあっても、その分は控除されない(基通1-4-2)。
        また、課税資産の譲渡等につき、売上げに係る税抜対価の返還等の金額があるときは、その計算をする際に控除すべき税相当額は、地方消費税相当額を考慮し、売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額に78分の100を乗じた金額となる(法9②)。
  • ② 基準期間が1年でない法人
      (①の金額/基準期間の事業年度の月数の合計数)×12

備考

基準期間における課税売上高は事業者単位で算定するから、例えば、事業として食料品の販売を行っている事業者がその有する建物を事務所用として賃貸する場合のように、一の事業者が異なる種類の事業を行う場合又は二以上の事業所を有している場合であっても、それらの事業又は事業所における課税資産の譲渡等の対価の額の合計額により基準期間における課税売上高を算定する(基通1-4-4)。

事業年度の月数は暦に従つて計算し、1月に満たない端数が生じたときは1月とする(法9③)。

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