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リース譲渡(所得税法第65条第1項又は法人税法第63条第1項に規定するリース譲渡に該当する資産の譲渡等をいう。)を行った事業者が、所得税法第65条第1項又は法人税法第63条第1項の規定の適用を受けるためそのリース譲渡の対価の額について延払基準の方法により経理することとしているときは、そのリース譲渡の賦払金の額でそのリース譲渡をした日の属する課税期間にその支払の期日が到来しないもの(その課税期間に支払を受けたものを除く。)は、その課税期間に資産の譲渡等を行わなかったものとみなして、その課税期間におけるそのリース譲渡に係る対価の額から控除することができる(法16①)。
控除した残額は、延払基準の方法による経理が継続される限り、賦払金の支払期日が到来する各課税期間(その課税期間前に既に支払を受けたものはその課税期間前の各課税期間、また、翌各課税期間以後に支払期日が到来するものでその課税期間中に支払を受けたものはその課税期間)において資産の譲渡等が行われたものとみなされる(法16②、令31)。
備考
この特例の適用を受けようとする事業者は、確定申告書(期限後申告書を含む。)にその旨を付記しなければならない(法16③)。
法人税法の規定の適用を受けない法人が、そのリース譲渡に係る対価の額につき延払基準の方法又はこれに準ずる方法により経理することとしているときは、この特例の適用を受けることができる(令37)。
(延払基準を適用しなかった場合等)
延払基準の方法により経理しなかった場合又は特例の適用を受けないこととした場合には、その経理をしなかった又は特例の適用を受けないこととした課税期間において未収となっている賦払金に係る部分については、その課税期間において資産の譲渡等が行われたものとみなされる(令32①③)。
法人税法第10条の3第1項に規定する特定普通法人が同法第2条第6号に規定する公益法人等に該当することとなる場合も同様にみなされる(令32②)。
(リース延払基準の方法により経理した場合)
リース譲渡のうち所得税法第65条第1項又は法人税法第63条第1項の規定により、延払基準の方法により経理をすることとしているときは、これらの規定により各年の総収入金額に算入される収入金額又は各事業年度の益金の額に算入される収益の額(リース譲渡した日の属する課税期間に係るものを除く。)に係る部分については、事業者は、当該リース譲渡した日の属する課税期間では資産の譲渡等を行わなかったものとみなされる(令32の2)。
(免税事業者となった場合等)
課税事業者が免税事業者となった場合又は免税事業者が課税事業者となった場合には、その免税事業者となった又は課税事業者となった課税期間において未収となっている賦払金に係る部分については、その課税期間の初日の前日において資産の譲渡等が行われたものとみなされる(令33)。
(死亡、合併、分割、事業の廃止等の場合)
特例の適用を受けている個人事業者が死亡した場合又は特例の適用を受けている法人が合併により消滅した場合若しくは特例の適用を受けている法人が分割によりリース譲渡に係る事業を分割承継法人に承継させた場合において、その事業を承継した相続人又は合併法人若しくは分割承継法人が引き続き延払基準の方法により経理することとしているときは、その相続人又は合併法人若しくは分割承継法人がその資産の譲渡等を行ったものとみなして、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例の適用を受けることができる(令34②、35②⑤)。他方、相続人又は合併法人若しくは分割承継法人が、延払基準の方法により経理しなかった場合又は特例の適用を受けないこととした場合には、12月31日若しくは事業年度終了の日の属する課税期間又は特例の適用を受けないこととした課税期間において未収となっている賦払金に係る部分については、その課税期間において資産の譲渡等が行われたものとみなされる(令34③④、35③④⑤)。
また、事業者が次に掲げる場合に該当することとなったときは、その該当することとなった課税期間において未収となっている賦払金に係る部分については、その課税期間において資産の譲渡等が行われたものとみなされる(令34①、35①⑤)。
備考
この特例の対象となる「分割」は、会社法に規定する分割を指し、現物出資及び事後設立は含まれない。
(延払条件付譲渡に係る所得税額の延納の適用がある場合)
山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の譲渡等を行った個人事業者が所得税法第132条第1項の延払条件付譲渡に係る延納の許可を受けたときは、延払条件付販売等に係る資産の譲渡等の時期の特例に準じて、賦払金の支払期日において資産の譲渡等が行われたこととされる(法16⑤、令36)。
この特例の適用対象には、個人事業者が行う所得税法施行令第79条(資産の譲渡とみなされる行為)に規定する行為が含まれる(基通9-3-7)。
備考
この特例の適用を受けようとする事業者は、確定申告書にその旨を付記しなければならない(令36⑤)。
(リース譲渡の特例計算の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例)
リース譲渡について所得税法第65条第2項又は法人税法第63条第2項におけるこれらの規定の適用を受ける場合には、これらの規定により、各年の総収入金額に算入される収入金額又は各事業年度の益金の額に算入される収益の額(以下「リース譲渡収益額」という。)に係る部分については、事業者は、当該リース譲渡した日の属する課税期間では資産の譲渡等を行わなかったものとみなされ、当該リース譲渡収益額に係る部分に係る対価の額を当該課税期間における当該リース譲渡に係る対価の額から控除することができる(令36の2①)。
なお、このリース譲渡収益額には、リース譲渡した日の属する課税期間において算入される各年又は各事業年度の収入金額又は収益の額は含まれない。また、ここでいう各年又は各事業年度は、当該リース譲渡した日の属する課税期間の翌課税期間の初日以後にその年の12月31日又はその事業年度終了の日が到来するものに限ることとされる。これにより、リース譲渡した日の属する課税期間において資産の譲渡等を行わなかったものとみなされた部分については、当該事業者が、当該課税期間の翌課税期間以降に資産の譲渡等を行ったものとして課税が繰り延べられ、前述の各年又は各事業年度のリース譲渡収益額に係る部分につきそれぞれの年の12月31日の属する課税期間又はそれぞれの事業年度終了の日の属する課税期間において、資産の譲渡等を行ったものとみなされる(令36の2②)。