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個人が、経過措置医療法人の持分を有していた被相続人から相続又は遺贈により経過措置医療法人の持分を取得した場合において、経過措置医療法人が相続税の申告書の提出期限において認定医療法人(平成26年改正医療法施行日から令和5年9月30日までの間に厚生労働大臣認定を受けた医療法人に限る。)であるときは、持分を取得した相続人等が相続税の申告書の提出により納付すべき相続税の額のうち、持分の価額に係る納税猶予分の相続税額に相当する相続税については、納税猶予分の相続税額に相当する担保を提供した場合に限り、認定移行計画に記載された移行期限まで、その納税を猶予する(措法70の7の12①)。
(注)1 「経過措置医療法人」とは、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(平成18年法律第84号)附則第10条の2に規定する経過措置医療法人をいう。
2 「認定医療法人」とは、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(平成26年法律第83号)附則第1条第2号に掲げる規定の施行の日(平成26年10月1日)から令和5年9月30日までの間に、持分の定めのない医療法人に移行する計画を作成し、その計画について厚生労働大臣の認定を受けた医療法人をいう。
3 「移行期限」とは、認定移行計画に記載された持分の定めのない医療法人に移行する期限をいい、認定の日から3年以内とされている。
備考
この特例は、相続人等が、相続の開始の時から相続税の申告書の提出期限までの間に、経過措置医療法人の持分に基づき出資額に応じた払戻しを受けた場合若しくは持分の譲渡をした場合又は「医療法人の持分についての相続税の税額控除」の適用を受ける場合には、適用されない(措法70の7の12③)。
相続税の申告書の提出期限までに、相続又は遺贈により取得した経過措置医療法人の持分の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者によってまだ分割されていない場合におけるその分割されていない持分については、この特例の適用を受けることができない(措法70の7の12④)。
猶予税額及び納付税額の計算
相続人等の納税猶予分の相続税額及び納付税額の計算は以下のとおりである(措法70の7の12②、措令40の8の12④~⑪)。
納税猶予が打ち切られる場合
納税猶予税額の免除
この特例の適用に係る認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までに、次の①又は②のいずれかに掲げる場合に該当することとなった場合には、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれに掲げる金額に相当する相続税は、免除される(措法70の7の12⑪、70の7の9⑪)。
備考
左の①又は②のいずれかに掲げる場合に該当することとなったことを証する書類を添付した届出書を、その該当することとなった日後遅滞なく、相続税の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない(措令40の8の12⑮、40の8の9⑪)。
利子税の納付
この特例の適用を受ける相続人等は、納税猶予の打ち切りがあり、猶予税額を納付する場合には、その納付する相続税額を基礎とし、相続税の申告書の提出期限の翌日から納税の猶予に係る期限までの期間に応じ、年6.6パーセントの割合を乗じて計算した金額に相当する利子税を、併せて納付しなければならない(措法70の7の12⑫、70の7の9⑫)。
備考
左の利子税の割合には、特例が設けられている(措法93)。