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特例経営承継相続人等が、特例認定承継会社の代表権を有していた者から相続等により当該特例認定承継会社の非上場株式等を取得した場合には、その取得した全ての非上場株式等に係る課税価格に対応する相続税の全額について、その特例経営承継相続人等の死亡の日等までその納税を猶予する(措法70の7の6①)。
なお、特例経営承継相続人等は、円滑化法の特例認定の有効期間(5年間)内は毎年、その後は3年毎に継続届出書を税務署長に提出しなければならない(措法70の7の6⑦、措令40の8の6○27)。
また、当該相続に係る相続税の申告書の提出期限までに、共同相続人又は包括受遺者によってまだ分割されていない非上場株式等については、この特例の適用を受けることができない(措法70の7の6⑤)。
(注) この特例は、平成30年1月1日から令和9年12月31日までの間の相続等に係る相続税について適用される。また、この特例の適用を受けるためには、平成30年4月1日から令和5年3月31日までの間に特例承継計画を都道府県に提出し、円滑化法の認定を受ける必要がある。
備考
措法70の7の7①により贈与者から相続により取得したものとみなされた特例対象受贈非上場株式等について、相続税の納税猶予の適用を受けようとする者は、当該相続に係る相続税の申告書の提出により納付すべき相続税の額のうち、特例対象相続非上場株式等に係る納税猶予分の相続税額に相当する相続税については、当該相続税の申告書の提出期限までに一定の担保を提供した場合に限り、特例経営相続承継受贈者の死亡の日まで、その納税が猶予される(措法70の7の8①)。
特例経営承継相続人等の範囲
この特例の適用を受けることができる特例経営承継相続人等とは、特例認定承継会社の特例承継計画に記載された当該特例認定承継会社の代表権を有する後継者(同族関係者と合わせて当該特例認定承継会社の総議決権数の過半数を有する者に限る。)であって、当該同族関係者のうち、当該特例認定承継会社の議決権を最も多く有する者(当該特例承継計画に記載された当該後継者が2名又は3名以上の場合には、当該議決権数において、それぞれ上記2名又は3名の者(当該総議決権数の10%以上を有する者に限る。))をいう(措法70の7の6②七、措令40の8の6⑭)。
備考
「特例承継計画」とは、認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けた特例認定承継会社が作成した計画であって、当該特例認定承継会社の後継者、承継時までの経営見通し等が記載されたものをいう(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則16一)。
被相続人の範囲
次の(1)又は(2)の場合に応じそれぞれに定める者である(措令40の8の6①)。
備考
A:当該特例認定承継会社に係る総株主議決権数
B:当該被相続人及び当該被相続人の同族関係者等の有する当該特例認定承継会社の非上場株式等の議決権の数の合計
特例認定承継会社の範囲
円滑化法第2条に規定する中小企業者のうち、円滑化法第12条第1項第1号の円滑化法認定を受けた会社で、相続開始の時において、次に掲げる要件の全てを満たすものをいう(措法70の6の6②一、措令40の8の6⑥~⑨)。
備考
「資産保有型会社」、「資産運用型会社」、「総収入金額」及び「特定特別関係会社」の意義については、
納税猶予分の相続税額の計算
特例対象非上場株式等の価額を特例経営承継相続人等に係る課税価格とみなして計算した当該特例経営承継相続人等の相続税の額をいう(措法70の7の6②八、措令40の8の6⑮)。
備考
左の計算において、特例認定承継会社又は当該特例認定承継会社の特別関係会社が外国会社等に該当する場合には、当該特例認定承継会社が当該外国会社等の株式等を有していなかったものとして計算した価額が特例経営承継相続人等に係る相続税の課税価格とみなされる(措法70の7の6②八)。
納税猶予税額の免除
この特例の適用を受ける特例経営承継相続人等又は当該特例経営承継相続人等に係る特例認定承継会社が次のいずれかに掲げる場合に該当することとなった場合には免除される(措法70の7の6⑫、措令40の8の6○28)。
また、特例認定承継会社について破産手続開始の決定又は特別清算開始の命令があった場合などに該当することとなったときには、一定の納税猶予税額が税務署長の通知により免除される(措法70の7の6⑫、措令40の8の6○28)。
備考
民事再生計画の認可決定等があった場合には、その時点における株式等の価額に基づき納税猶予税額を再計算することとし、差額については免除される(措法70の7の6○21)。
納税猶予の打ち切り
備考
A:当該特例認定承継会社に係る総株主議決権数
B:特例経営承継相続人等及びその同族関係者等の有する当該特例認定承継会社の非上場株式等の議決権の数の合計
雇用確保要件の緩和措置
この特例の適用を受ける者は雇用確保要件(措法70の7の2③二)を満たさない場合であっても、納税猶予の期限は確定しないこととされている(措法70の7の6③)。ただし、その場合には、その満たせない理由を記載した書類(認定経営革新等支援機関の意見が記載されているものに限る。)を都道府県に提出しなければならない。なお、その理由が、経営状況の悪化である場合又は正当なものと認められない場合には、特例認定承継会社は、認定経営革新等支援機関から指導及び助言を受けて、当該書類にその内容を記載しなければならない(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律施行規則20)。
経営環境変化に対応した減免措置
経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合において、特例経営承継期間経過後に、特例認定承継会社の非上場株式等の譲渡をするとき等には、次のとおり納税猶予税額が免除される(措法70の7の6⑬~⑯)。
備考
「経営環境の変化を示す一定の要件を満たす場合」とは、直前の事業年度終了の日以前3年間のうち2年以上、特例認定承継会社が赤字である場合など一定の場合をいう(措令40の8の6○29)。
災害等を受けた場合の要件の緩和
特例認定承継会社が次に掲げる場合に該当することとなった場合には、期限確定事由に係る雇用確保要件若しくは資産管理会社非該当要件の緩和、特例経営承継期間内に破産手続開始の決定があった場合等における猶予税額の免除又は特例認定承継会社要件等に係る事前役員就任要件若しくは資産管理会社非該当要件の緩和の特例の適用を受けることができる(措法70の7の6○26)。
利子税の納付
この特例の適用を受けた特例経営承継相続人等は、納税猶予税額の全部又は一部を納付する場合には、納付する税額を基礎とし、相続税の申告書の提出期限の翌日から納税猶予の期限までの期間に応じ、年3.6パーセントの割合を乗じて計算した金額に相当する利子税を納付しなければならない(措法70の7の6○23)。
備考
特例経営承継期間の末日の翌日以後に納税猶予税額を納付する場合には、当該特例経営承継期間中の利子税は免除される。