納付すべき相続税額を延納によっても金銭で納付することを困難とする事由がある場合には、その困難とする金額を限度として物納の申請をすることができる。税務署長は、その申請の日から原則として3か月以内に申請された財産が適当かどうかを審査し、申請された財産ごとに許可又は却下をする。物納に充てることができる財産は、次のもの(管理処分不適格財産(抵当権が設定されている不動産、境界が不明確な土地等の一定の財産)を除く。)である(法41、42)。
物納劣後財産(市街化区域外の土地、接道条件を満たさない土地等)を物納に充てることができる場合は、税務署長が特別の事情があると認める場合を除くほか、それぞれ①~③に掲げる財産について適当な価額のものがない場合に限られる。
この②(2)に掲げる財産(上場されているものを除く。以下同じ。)又は③に掲げる財産を物納に充てることができる場合は、税務署長が特別の事情があると認める場合を除くほか、②(2)については①に掲げる財産及び②に掲げる財産のうち換価の容易なものについて、③については①②に掲げる財産について適当な価額のものがない場合に限られる。
物納申請された財産が管理処分不適格財産又は物納劣後財産に該当する場合には、その申請は却下されるが、その却下の日から20日以内であれば一度に限り再申請することができる(法45)。
物納により納付が完了されるまでの間について、年7.3%の利子税を納めなければならない。ただし、審査事務に要する期間については、利子税を免除される。
なお、賃借権等のある物納不動産については、物納許可後1年間に限り、物納を撤回して金銭による納付に変更する申請ができる(法46)。
備考
物納財産の収納価額は、課税価格計算の基礎となったその財産の価額によるが、収納のときまでにその財産の状況に著しい変化が生じたときは、収納のときの現況によって財産の収納価額を定める(法43①)。
「特別な事情」とは、例えばその財産を物納すれば、居住し、又は営業を継続して通常の生活を維持するのに支障を生ずるような場合をいう(基通41-13)。
延納した場合の利子税の割合及び計算方法は、前記の利子税に準ずる。